12月に入り、忘年会季節宣言をわたしは勝手にしております(報告)
さて、商業登記法第27条では、「商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあっては、本店。)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない」とされています。
実体の異なるA株式会社が同じ場所にあるような登記はできないということです。
しかし、何年か前に友人から、新設分割の件で上記に該当する場合があるので登記はできないのではないかということを相談されたことがありました。しかも、かなりの規模の会社なので間違いました、ごめんなさいではスマナイ案件だった気が(会社の大小で仕事の打ち込み具合が変わる事はありません、念のため)…
その内容は、
まずA株式会社というのがあり、その会社が新設分割によって、100パーセントの親子関係となる子会社を新規に設立するものでした。ついで、新設分割の目的が、持株会社化(ホールディングス化)のためなので、新設される子会社を事業会社とし、既存の親会社であるA株式会社は持株会社として存在するというものです。
ここで、実務上は、ホールディングス化によって既存の会社の商号を、新設分割が効力発生することを条件に、「○○ホールディングス」とする変更を新設分割の効力発生日たる登記の日をもってすることが多々あります(今回でいえば、「Aホールディングス株式会社」)。また、同時に、新設される事業会社の商号を既存の会社の商号と同じ「A会社」とする新設分割をします。
この際の登記申請は、まず、①従前のA株式会社と同一所在場所に同一商号を用いた会社を新設分割により設立し、②連件で、従前の「A株式会社」を「Aホールディングス株式会社」と商号の変更をすることになります。
すると、①の新設分割の登記を申請する段階では、いまだ登記記録上、既存の「A株式会社」が、新しく新設分割により設立される会社の同一所在場所にあります。したがって、形式的には、①の登記完了をもって、上記商号登記法第27条の「同一所在場所及び同一商号」にA株式会社が2社該当することになります。ということは、本来的には却下事由になってしまいそうです。
この話を聞いたときに、もう新設分割の議案も株主総会で通っちゃってるし、「南無阿弥陀仏」、「司法書士として逝ってしまった」、「逃亡」と不吉な言葉が頭の中を駆け巡りました。
しかし、どうやら無事に登記もとおり、その友人も、「整形して国外逃亡せず」にすみました。
しかし、私の中でもどうして登記が通るのか、常に???の状態であったわけですが、最近のQ&Aを見ているとたびたびこの事例に遭遇します。
月報司法書士11月号(2009)9頁においても、当該事例について軽くではありますが、言及されております。
そのサマリーは、「後件の商号変更の登記がされる限りにおいて、新設分割による設立の登記が商業登記法27条に違反することとはならないから、これらの2個の登記の申請は、いわば一体として取り扱うべきものと考えられる」とされています。
瞬間的、刹那的に「同一所在及び同一商号」とみるのではないということなのですね。
ただ、解釈論としては、多少無理があるのではないかと思います。この射程として、新規の単純な設立と、商号変更が連件で出された場合にも及ぶのかどうか、すなわち、上記の解釈は新設分割のみに該当するのか定かではありません。
個人的な見解に過ぎませんが、現在の運用はやはり解釈の限界であって、要は、おかみが目を瞑っているんだなと考えています。この点については、商業登記法の改正が必要なのではないかと私は考えてしまいます。現行27条に但書きを設けるような形で、「但し、登記申請が連件で同一所在場所及び同一商号とならない変更の登記があるときにはこの限りにはあらず」的なものではどうでしょうか。
実務上、新設分割の際には、疑義が解消されたので、今のところは困ることはないのですが、少々頭の体操になりそうです。
では、また。
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