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会社法組織再編

2009年11月 5日 (木)

資本金の額が足し算される合併はまれなのか~計規36条の射程(4)

※平成21年11月6日訂正あり

スピッツのチェリーを聴くとなんだか泣きそうになります、私の世代の場合(報告)

(前回までのおさらいとして。36条2項は、36条1項が適用されることが前提。では、36条1項が適用される会計基準は、①共通支配下の取引、②共同支配企業の形成、③逆取得が該当する。ではでは、それらのすべてが36条2項の適用があるのか考えてみましょう。)

まず、②の共同支配企業の形成は、大雑把にいえば、当事者の会社が双方対等に株式を保持することが共同支配企業の会計基準を採用する端緒なので、株式を対価としないということは考えられません。ですので、無対価で株主資本等を引き継ぐことになる36条2項の適用はありません。

③の逆取得については、金子先生の著書(これが計算規則だ株主資本だ(2007))によれば、逆取得は、「取得会社の株主が被取得会社の株主になるという前提がある」(ここでの取得は支配取得のことで、どちらが株主構成の多数をとっているかということ)みたいです。したがって、②と同様に株式を交付しないということは想定外であり、逆取得の場合には、36条2項の適用はないと考えられます。

これらを統合すると、①の共通支配下の場合にのみ36条2項(無対価かつ資本金等簿価引継ぎ)の適用が考えられそうです。

ただし、子会社を存続会社とし、親会社を消滅会社とする合併(注親会社が存続会社で、子会社が消滅会社ではない)は、共通支配下の取引に該当しますが、株式を交付することができないので(749条1項3号=子会社が有している自己株式のみになってしまう)、共通支配の場合もケースバイケースで判断する必要があろうかと思います。

※平成21年11月6日追加:子会社を存続会社とし、親会社を消滅会社とする合併では、子会社が親会社から承継する株式を親会社の株主に交付することが多々あります(承継自己株式の問題)。100パーセント親子関係の合併では、株式を交付しなければ、存続会社は親会社から承継した株式(自己株式)のみとなっていまいますので、必然的に上記の逆親子合併では株式の交付が伴い、36条2項の適用はないことになります。(草薙先生にご教授いただきました。ちなみに草薙先生のブログは大変参考になりますので、ここに付記しておきます)

http://shoshi-kusanagi.cocolog-nifty.com/blog/

兄弟合併の場合に36条2項は、用いられることになりそうです。

これが、36条2項の段階的な整理になろうかと思います。

(最後は理解不足でぐだぐだになりました。誠に申し訳ありません。精進いたします。

では、また。

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2009年11月 4日 (水)

資本金の額が足し算される合併はまれなのか~計規36条の射程(3)

ホットカーペットを出さざるをえない季節になってきました(報告)

さて、次に株式を対価としない場合の計算規則35条及び36条の適用条件についての整理です。この場合は株式を交付していませんので35条と36条1項は適用する余地はありません。適用しないということは、計算規則35条及び36条1項が対象とする株主資本等変動額の問題ではない=株主資本は変動しない=資本金の額は変わらないということがいえます。

ではどうなるんだよというわけですが、対価を現金と想定すればわかりやすいのですが、この場合、100万円消滅会社の株主に支払って、消滅会社の資産(負債)を引き受けます。すなわち、原則として、存続会社の資産から100万円分が減少するのに対して、消滅会社の資産(負債)を引き受ける(存続会社の貸借対照表に組み込む)ことを意味します。そして受け入れた額と支払った金銭に差がある場合にはのれんの計上の問題となります(受入れ財産のほうが多かったら負ののれん、支払った額が多ければ資産のれん)。

無対価の場合は、株主資本の変動は基本的には想定外な範囲なのです。しかし、例外的に、36条2項が登場してきます。対価として株式を交付していないにも関わらず株主資本の問題が顔を出すのですな。株主資本の問題といっても消滅会社の資本金、資本剰余金は存続会社のその他資本剰余金に引き継がれ、とりわけ重要なことは、消滅会社の利益剰余金は、存続会社のその他利益剰余金に引き継がれます(株式を交付しないので、資本金は増加しません)。

対価を交付しない=無対価合併になりますが、36条2項の「対価が存しない」とは、36条1項に規定されている対価の全部が株式である場合が前提としてあるようです(会計上?)。ニュアンスとしては、36条1項を適用して株式を交付できるにもかかわらず、株式を交付しなかった場合に適用される余地があるのが36条2項みたいです。

ですので、おさらいとして、36条1項が適用される会計基準は、

①共通支配下の取引、②共同支配企業の形成、③逆取得

となっています。

では、これらのすべての場合に、36条2項の適用があるのかというと、そうではないのですな。難しい…

つづく…(まだ続くのかよ)

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2009年11月 2日 (月)

資本金の額が足し算される合併はまれなのか~計規36条の射程(2)

計算規則35条と36条の分岐は、株主資本の内訳を引き継ぐかどうかによって、条文の袂を分けます。この分岐のどちらになるのかの思考のスタートしては、存続会社が対価として株式を交付(自己株式でもよい)するか否かです。

35条1項及び36条1項の双方とも対価として株式(自己株式を含む)を交付することが要件となります。35条1項では、「対価の全部又は一部が吸収合併存続会社の株式」とされていますし、36条1項では、「吸収型再編対価の全部が吸収合併存続会社の株式」とされていることから明らかです。

もっとも、36条のほうは対価の「全部」が株式でなければなりません。

では、対価の全部が株式であれば、35条1項の各号のどれかを適用することができます(1項1号~3号参照)。同様に対価の全部が株式であれば、先の条文上からも36条1項の適用ができると考えられそうです。

しかし、そんなに甘くはないみたいです。条文に書かれていない除外事由が会計畑から導かれます(計算規則に規定されていないことは、政治家風にいうと「大変遺憾」ですが)

条文上には規定されていませんが、対価がすべて株式であっても、36条は以下の会計処理の場合にのみ利用できます。

①共通支配下の取引、②共同支配企業の形成、③逆取得

一方で、適用できないのはなにかといいますと、

④支配取得、⑤完全親子合併(以下、「完全」は長いので省略)

の場合です。

④が適用できないのは、おそらく36条自体が簿価引継ぎについての規定なので、そもそも「時価」を基礎として計算する場合の支配取得の場合には前提を欠くからなのでしょう。⑤の場合には、具体的な場合を考えてみますと、

まず、親会社を存続会社とし、子会社を消滅会社とする場合に対価の割当てはどのようになるのでしょうか。子会社の株式を親会社が取得しているわけですので、親会社は合併に際して子会社の株主として、自社に株式を割り当てあれることになります。とすると、いきなり原始的に自己株式が大量に発生してしまうことになります。これは無益ですので、会社法上にもできないことになっております(会社法749条1項3号)。

したがって、株式を交付することができませんので、おのずと対価のすべてが株式」を前提とする36条1項の適用はないため、⑤が除外されていることになります。

傍論ですが、④は必ず35条1項1号で判定され(36条の検討の余地なし)、⑤は株式を発行できませんので、株主資本に影響を与えることがなく、特別損益の問題として処理されるのではないでしょうか。

つづく

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2009年10月31日 (土)

資本金の額が足し算される合併はまれなのか~計規36条の射程(1)

富士山を始めてみたときに、「大きい」というよりは「広い」という感想を持ちました(報告)

さて、吸収合併の際の資本金等の株主資本である会計は、計算規則35条及び36条に規定されていますが、読んだだけではなんのこっちゃわかりません。私が個人的に愚痴を言ってもどうにもなりませんが、計算規則が苦手なことを踏まえていただければ、以下の記事に間違いがあっても多少は許してもらえるのではないかと淡い期待を抱いております。

吸収合併の株主資本等については、2条にわたって規定されていますが、35条と36条の分岐点はなんでしょうか?

これは、株主資本等の内訳を消滅会社から(簿価で)引き継げるかどうかに起因し、引き継げるのであれば引き継ぐか否かの問題です。

35条は株式を交付していれば(自己株式を含む)算定される株主資本変動額の範囲内で資本金の額、資本剰余金(その他資本剰余金であっても)を自由に増加させることができる類型です。ただし、利益剰余金は「増加」させることはできません。取引行為ではないので。

一方で、36条は、消滅会社の株主資本等の内訳を引き継ぐ類型を定めています。対価のすべてが株式であれば、存続会社の資本金の額と消滅会社の資本金の額を合体させなければならない類型です(対価として株式を交付しない場合は資本金の額を引き継ぐことはありません)。

私は、受験時代から会社が合併すると必ず資本金が合体して巨大になっていくイメージがあったので(はなはだ理解不足として間違っていますが)、実務に合併に携わる以前では、36条の合併形態に対してのほうになんとなく親近感をもっていました。しかし、実際は資本金をそのまま合算するような合併(36条1項適用)は少ないのが、今の実感です。わざわざ資本金を足して登録免許税がかかるというのも不都合かと思われます。

ですので、通常は計規35条の規定が合併の場合のメイン規定として、株主資本等計算書を提出することになるかと思います。

ちなみに、35条1項の区分ですが、1号は、逆取得を除く支配取得の場合。2号は、共通支配下取引。3号は、共同支配企業と逆取得の場合です。この各場合の内容というのは会計の基準です。

1号及び2号が適用される場合は、条文から導かれますが(定義規定も2条3項31号、32号にある)、3号は企業会計基準からダイレクトに導かれますので、司法書士としては3号に該当する場合の根拠を提示せよといわれても正直お手上げです。

会計基準が国際化の波もあり、まだまだ多分に流動的な変更要素がありますので、計算規則に詳しく規定しても、いつ何時会計基準が変更され、それに伴い計算規則も変更しなければならない手間を考慮した規定ぶりなのでしょうから仕方ないですね。

前置きが長くなり、疲れましたのでまた。

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2009年10月28日 (水)

100パーセント親子関係にない会社合併では少数株主より株式を買取るほうがよいでしょうとの意見の意義

最近、30歳になればもっとしっかりとした大人になっているのか考えてしまいます(報告)

さて、平成21年4月1日の計算規則改正施行により(もうこの枕言葉はいらないなぁ)、親子会社の合併、すなわち、親会社が存続会社となり、子会社が消滅会社となる場合の会計処理の規定が姿を消しました(できなくなったわけではありません)。

旧計算規則のけっこう複雑なところ(算数でさえ苦手な私にとって複雑という意味)の条文がすっかり抜け落ちてしまったので、計算規則を初見する限り、第35条が親子合併についてのどのような影響を及ぼすのか理解不能です。じゃあ司法書士が計算規則とみらめっこをしてどうやって株主資本変動計算書を導けばいいのかと憤りを感じてしまうところですが…

親子合併の場合には、親会社持分(抱き合わせ株式)は清算的な要素として、特別損益として計算します(受け入れた資産から消滅する抱き合わせ株式分の差がプラスであれば特別消滅差益、差がマイナスであれば、特別消滅損となります)。なので、株主資本の問題認識から特別損益の問題認識のウェートが高くなり、通常の計算よりちょいと複雑になります(ですので、株主資本等変動計算書は理屈でいえば、通常より記載事項が複雑になる)。。

しかし、100パーセント親子間の合併では、特別損益のみの問題となりますので、株主資本には影響がありません(そもそも対価として株式を交付することは自己株式の割当てなので認められず(749条1項3号)、対価として株式を交付できないので、資本金が増えることはないのですね。資本金が増えることがないので残念ながら(?)株主資本変動計算書の添付は不要になっちゃいます。

この親子合併の場合ですが、100パーセントの親子関係が認めれられるのか、それとも少数株主が存在している100パーセントではない親子関係の場合かで、合併前の下処理(?)を一手間入れるのが一般的な流れなのではないでしょうか。

まず100パーセントではない親子関係の場合にそのまま合併してしまった場合にはどうなるのでしょうか。この場合に、対価として株式を交付するとすれば、親会社には対価を割り当てることができませんので(原始的な自己株式の割当てとなり、禁止されています749条1項3号)、少数株主に株式を割り当てそのまま株主としていられてしまいます。なんだか小骨(=少数株主)が刺さったみたいで気持ちが悪いでしょう。

また、無対価(もしくは現金交付)の場合。この場合には、株式を交付していないので、確かに少数株主さんにはお役ごめんですが、株主資本の問題ではなく、のれんの発生を認めてしまう可能性がありますので正直めんどくさいです。のれんは償却していかんければなりませんので。

ですので、一手間をかけるということの意味は、少数株主の株式を親会社に譲渡して、100%親子間にするということです。

100パーセントの親子合併であれば、株式の交付もないため、資本金を増加することがないので、合併としては登録免許税もかからず(もっとも、通常でもその他資本剰余金に振り替えることが多いかも)比較的わかりやすい(登記しやすい?)形態になるものと思われます。また税制の観点からも。

ただ、この取扱いは、株式を買取ることができる場合ですので、消滅会社の株主がいやだといったらもはやどうにもなりませんあくまでも株式の譲渡は契約ですので。せめて消滅会社が債務超過で株式に数字的には財産的価値が現時点ではない場合に、プレミアムをつけて買取ることを打診する勢いがないと無理っぽいでしょう。

では、また。

司法書士さんの他のブログは下記のリンクより参照できますので、ぜひともどうぞ。

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2009年10月 7日 (水)

第二会社方式による事業再生(記事)

いわゆる産業活力再生法による会社分割制度の利用についてです。

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/zaimu/rensai/point.cfm?i=20091005z1000z1&cid=bpl001

近時、大企業では、事業再生ADRや民事再生法等の利用により会社(事業)の再生の選択肢が増えつつありますが、上記の手続自体がどの程度の会社規模で利用が予定されているのか、今後の動向に注目です、はい。

会社分割については、中小企業でも利用価値はかなり高いですし、銀行さんも最近リスケの関係で、応相談というところが多そうですし。

不景気になればなるほど、会社分割が注目されますねぇ~。

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2009年10月 6日 (火)

株式交換で任意に債権者保護手続を経てその他資本剰余金を増加することができるのか?

「市民と法」の10月号116頁(2009)において、須藤雅巳先生の論文「株式交換における株主資本の計算」が掲載されています。まことにはずかしながら、考えたことのない論点であり、勉強させていただきました。

主な論旨及び問題意識としては、「たまたま対価として完全親会社株式以外の財産が交付された場合(一部筆者省略)には、その他資本剰余金に配分(増加)できるが、それ以外の場合にはできないことになり、公平性を欠くのではないか」ということです。そして、その論調の帰結として、債権者保護手続が不要な株式交換であっても、任意に(799条のフレームワークを用いて)債権者保護手続を経れば、資本金、資本準備金のみならず、その他資本剰余金を増加することができるのではないかと提案するものです(ただし、現在の実務上では民事局見解との兼ね合いから同条を用いたその他資本剰余金を増加させることは不可であると講じられておりますことに注意が必要)。

実務上において、任意に債権者保護手続を経ることによって、株主への配当財源に振り替え(その他資本剰余金を増加させる)、新しく完全親会社の株主となった方への配当に備える要望が多いのではないかと思われます。

私の個人的な考えとしては、799条の任意履行は必要性の観点からは不可、許容性の観点からは、条文改正を望むといったところです。

では、なぜその帰結に至ったのかを述べたいと思います。

まず、前提としての理解を整理します。株式交換における株式交換完全親会社では、①株式を対価として交付する場合で、かつ、②株式交換完全子会社より新株予約権付社債の承継がない場合には、債権者保護手続が不要である旨が規定されています。①又は②のどちらかを満たさないのであれば、債権者保護手続をする義務が生じます。株式交換は条文の位置から明らかなように組織再編の枠内ですが、その他の組織再編手続に比較して、債権者保護手続が不要な場合が多いのではないかと思います。

では、債権者保護手続履行の局面から検討すると、

ⅰ)上記①又は②を満たす場合であっても、「799条」の規定の債権者保護手続を任意に履行することができるのか。(なぜ任意に履行する方策を考えるのかといいますと、計規39条第2項本文を適用して、株主資本変動額を「その他資本剰余金」に振替えたいからです)。

ⅱ)または、799条の債権者保護手続は、上記の①かつ②以外の場合にのみしか行うことが認められず、債権者保護手続が必ず適用することができないこととなり、これを受けて、計規39条第2項但書きにより、その他資本剰余金を計上することができないのか。すなわち、799条の任意履行ができず、その他資本剰余金を計上しようとすると、799条ではない別途スキームを用いることになるのか

といった疑問が生じてきます。

※799条の規定に該当しない別途スキーム(債権者保護手続)としては、株式交換後に、完全親会社の資本金を減少してその他資本剰余金に振り替える447条であるか、または準備金の額を減少してその他資本剰余金に振り替える448条が想定できるでしょう(蛇足ですが、当該手続を効力発生日を株式交換の日にすることも可能です)。

須藤先生の論拠に一貫しているのは、条文間の公平性ということがいえると思います。確かに組織再編の債権者保護手続という枠組みの観点からの「公平性」というキーワードを貫くと、上記①②の場合であっても、債権者保護手続の任意履行が可能であり、その他資本剰余金への振替ができるという結論が、親和的なような気がします。しかし、あくまでも組織再編の枠内での結論であり、代替可能なプロセスがあるにもかかわらず、、「799条」の債権者保護手続を適用するのであれば、その「必要性」につき、別途検討を要する問題ではないかと思います。

まず、株式交換における799条の債権者保護手続は、あくまでも完全親会社から現実に財産が流出する場合(上記①の反対規定)や、完全親会社の債務が増加する場合(上記②の反対規定)が個別具体的に規定されています。また、同条の合併・分割では必ず資産・負債が流出入するため、すべての債権者を対象として、債権者保護手続をすることが義務付けられています。

すなわち、資産負債が流出入するか否かの観点から債権者保護手続の必要不要が定められていることがわかります。このように、組織再編では債権者保護手続のフレームワークが資産・負債の観点から規定されており、資産・負債の移動が伴わない場合には当該規定の趣旨の枠外なのではないかと思われるのです。

したがって、趣旨の枠外であれば、当該フレームワークの仮借の余地はないのではないかと考えられます。

このように、資産・負債の移動を伴わない組織再編の場合には、組織再編における債権者保護手続と距離を置くのが妥当なのではないかと思います。そして、組織再編と距離を置いた代わりに、一般原則としての、会社法第5章の計算等の規定の適用を検討するのではないかと考えます(447条又は448条の規定を適用し、株式交換とは別途手続を履行して、その他資本剰余金を増加させることになる)。

また、条文解釈からすると、旧商法においては、常に株式交換による払込資本分は、資本金・資本準備金とする必要がありました(旧商288条1項2号)。この見解の変更が、債権者保護手続を要しない場合にもその射程が及ぶことが直接表示されていないとするならば、すなわち、解釈の変更はないということがいえるのではないかと思います。

一方で、会社法の法制審議会のメンバーであられた江頭憲治郎『株式会社法』(第1版)においては、「会社法は、株式交換の際に完全親会社が債権者の異議手続を行うことを条件として、同社が剰余金の配当財源となるその他資本剰余金を増加することも可能とすることにより」と記載されています(832頁)。この趣旨が799条における枠組みで具体化することを趣旨としているのかは不明確です。すなわち、株式交換において、その他資本剰余金を増加する場合には、447条・448条の規定対応で足りるのはないかということもいえるのではないかということです。

以上のように、799条の任意適用の必要性が薄いと考えられるため、447条等の規定における対応にならざるを得ないのではないかと考えてしまいます。(本論分でご指摘のある799条の条文の文言解釈については触れませんでしたが)

一方、許容性についてですが、現在の799条(及び関連計算規則)が改正され、447条等を用いたスキームでのその他資本剰余金の増加ではなく、任意履行を可能にする新799条での増加を「創設」することは問題はないと思いますので、将来的な改正については異議はありません。

株式交換はよくわかりません。では、また。

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2009年9月23日 (水)

有限から株式への商号変更と資本金の額の減少の手続順番はどうするの(補遺)?

閑話休題。

資本金の額の減少をすると、欠損填補により資本金の額が減り、なにやら純資産の額が減少すると誤解される方がおられます(金融機関の方であっても)。これは大きな誤りです。

金融機関からの指示で、「その他利益剰余金」のマイナスを消しとばすために、「資本金」の額を減少することがありますが、これは「資本金」→「その他資本剰余金」→「その他利益剰余金」へ計数を変動するだけです。すなわち、BSの純資産の部全体としてみれば、合計額はかわりません。

(※「その他利益剰余金」への振替は、「その他利益剰余金」のマイナス分を補完する分だけということが会計基準で定められています)

また、当期損失が大きくても今期の決算を組んだ後でなければ、当期純損益がその他利益剰余金には反映されていませんので(損益計算書を通過して初めて貸借対照表に計上される)、当期分の欠損填補は、資本金の額の減少ではできないことになっていることに注意が必要です(当期にめちゃくちゃ赤字がでていて、それを消しとばすためにすぐさま資本金の額を減少するということはできません。臨時決算を組んだとしても)

このように、資本金の額を減少するとなにやら会社から現実の財産が流出していそうなイメージですが、まったく現実の財産は流出していなことは忘れてはいけません(計数の変動です)。

標記タイトルと話が大きく異なりますが、資本金の額の減少の注意点を備忘録として記載しておきます。

では、また。

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2009年9月22日 (火)

有限から株式への商号変更と資本金の額の減少の手続順番はどうするの(3)?

私としては、変更年月日が出てこないこと自体は、対第三者むけに考えてみても、別にたいした意味はないと思ってます。外部の第三者がその変更経緯が必要なときがどれだけあるのかわかりませんし、変更年月日が明らかにならないことによる差し障りはないと考えられます(外形標準課税からの変更ということが起こるとするならばその影響がないのかどうかは調査不足ですが)。

では、なにが問題となるのかというと、商号変更による移行をただちにした後に、資本金の額の減少手続に入ることです。

それはなぜか?

資本金の額の減少では債権者保護手続として、官報公告がどうしても必要になります(449条)。この公告は、決算公告と相違して有限会社であろうと、株式会社であろうと必要になります。しかし、資本金の額の減少の官報公告を有限会社名で記載するのか、株式会社名でするのかは法律上において大きな影響があります。

有限会社には、決算公告義務がありません(整備法28条)。したがって、資本金の額の減少公告では、最終のBSについては決算公告義務がないことに触れることで足ります(計算規則152条)。ところがどっこい、株式会社に移行したとたんに、資本金の額の減少公告をする場合には、最終のBSの開示要求が発生します※

(※公告方法(決算公告方法)を官報又は日刊新聞紙とした場合であって、電子公告の方法を採用しない場合)。

特に重要なことは、商号変更移行後に、いまだ株式会社として初めての決算を迎えていなくても決算公告をしなければならない点です(計算規則1号に該当し、第5号の最終事業年度がない場合ではない)。

したがって、商号変更による移行後に、ただちに債権者保護手続として官報公告に掲載する場合には、同時公告による官報公告を検討することになります。

(※同時公告とは、資本金の額の減少と同時に決算公告もする公告のこと)

(※ちなみに官報では、同時公告の場合はなぜか号外に掲載される)

すると、官報公告は掲載量で費用が変わりますので、非公開会社であれば公開会社に比べて記載内容が少ないというものの、すくなくともBS掲載分ほど、余計に官報公告費がかかってしまいます。

無駄ですねぇ~。

ですから、費用節約のためには、官報公告は少なくとも有限会社名で出すべきです。また、一回公告を出してしまえば、資本金の額の減少が効力発生していなくてもいつでも株式会社に移行しても資本金の額の減少の登記申請は受理されます。ただ、公告がだされる前に株式会社に移行するのは問題ですが。

そして、当該公告には株式会社に移行予定であることを掲載しなくてもよいです。たまに公告内容として、株式会社に変更予定である旨も記載されている内容をみますがあくまでもIRの観点からですので、法定記載事項ではないです。

あくまでも、重要なことは、有限会社名で官報公告をするということではなかろうかと思います。

長々と記載しましたが、官報公告の観点からみた商号変更による移行と資本金の額の減少の手続順番の検討でございました(あくまでも私の個人的な見解でございますので、当該手続を履選された場合の損害等については一切の責任は負いかねませんのでご了承ください。

では、また。

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2009年9月21日 (月)

有限から株式への商号変更と資本金の額の減少の手続順番はどうするの(2)?

商号変更による移行とその他の登記申請を同一日とした場合に、当事者以外の者にしてみれば、その変更の経緯は、旧有限会社の登記簿と、新たな株式会社の登記簿とを見比べて対照しなければなりません。言い換えると、旧登記簿と新登記簿の間違い探しをしなければならないことを意味します。

資本金の額の減少でいうならば、旧有限会社の登記簿には、変更前の資本金が記載され、新しい株式会社の登記簿の資本金の額は減少後の資本金が直接記載されることになります。通常登記簿には、「平成21年○○月○○日変更」と原因年月日が記載されるのですが、商号変更による移行と同時に申請した場合にはこれが記載されないんですねぇ~。

(※役員欄については、登記官が職権でその就任年月日を記載することになることと区別してください)

これは、外部の方からすると、わかりづらさ満載です。登記簿からは資本金の額の減少の旨が確認できませんので。

(過去何年か前に資本減少をし、その変更事項が閉鎖登記簿に記載され、現在の登記簿に変更事項の記載がなくなることもあるので、登記簿から変更の履歴がすでになくなっていることと同じくわかりにくいことは問題ではないじゃないかと疑問にもたれるかたもおられるかもしれません。しかし、過去に行われた資本減少の変更履歴が登記簿閉鎖により、いずれ「確認できなくなること」は時的限界の問題であるのに対して、株式会社への移行の場合には、そもそも「記載がなされない」ことであり、この原始的な記載の違いを加味することが必要となります)。

したがって、このわかりづらさ(商号変更による移行と資本金の額の減少を同時に申請した場合には、資本金の額の減少の変更年月日がでてこないこと)を説明するために、資本金の額の減少が効力発生したことの証明のためには、有限会社の閉鎖謄本と、新しい株式会社の謄本をもって理解することになりますということを説明します。

そもそも変更年月日が出ないのは不思議ですねぇ~

続く

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2009年9月20日 (日)

有限から株式への商号変更と資本金の額の減少の手続順番はどうするの(1)?

いきなりですが、質問です。

ある有限会社のクライアントさんから欠損填補のために、資本金の額の減少(及び452条の損失の処理)と株式会社への商号変更による移行を同時に依頼された場合に、登記は同時にしますか。すなわち、資本金の額の減少の効力発生日を商号変更による移行の登記申請日としますか?

それとも、株主総会決議だけでよい商号変更による移行登記をさっさと済ませて、債権者保護手続で少なくとも1ケ月以上かかる資本金の額の減少登記を後に回しますか?

有限会社のクライアントさんからは、増資とともに株式変更への商号変更のご依頼がたまにあるのですが、めずらしく資本金の額の減少とセットのご依頼がありました。昔の株式会社では、資本金を1000万円以上にしなければならなかったので、株式会社に移行する場合には資本金を1000万円にしなければならないと思っておられるクライアントさんもおられます。この場合には、当然資本金の額は今のままでも問題ないですよとご説明。

増資と商号変更による移転であれば、基本的に効力発生日を同日とする申請します。登録免許税の観点からは、当然の結論となります(登録免許税法別表第一第24号(ホ)参照)。

また、増資以外の事項に関してでも、登録免許税が別途かからないことはもちろんのこと、同一日時に会社の形態と中身が一気に変わったほうがクライアントさんとしても「分かりやすい」でしょうから同時に申請することが理想的ではないかと考えております。

この「わかりやすさ」というのは、例えば、平成21年11月11日に資本金の増加も生じたし、株式会社にもなったし、目的変更もした、さらには役員までも変えたということが、「当事者」には記憶として残るという意味で「わかりやすい」ということです。株式会社化とは、いわば新しい会社の誕生日が生まれる(0歳の誕生。もちろん決算等は有限会社から引き継ぎます)ので、その日にちは重要だと思います。

では、当事者以外の者からしてみれば、どのような印象を与えるのか、また与えかねないのか?

長くなりそうですのでまた明日。

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2009年9月19日 (土)

三角株式交換の需要って

どなたかチェンバル語を教えてくれるかたはおられませんか?(報告)

平成21年10月1日を効力発生日として、阪急阪神交通社とその子会社である、阪神エアカーゴとが株式交換を実施し、株式交換完全子会社となる阪神エアカーゴに対して、阪急阪神交通社の親会社である阪急阪神HDの株式を交付することが公表されています。

読みにくいので整理しますと、株式交換完全親会社は、阪急阪神交通社:実質は中間子会社

株式交換完全子会社は、阪神エアカーゴ:実質は子会社

株式交換により阪神エアカーゴの株主に交付される株式は、阪急阪神交通社の100パーセント親会社である阪急阪神HDの株式 :阪急阪神HDが実質の親会社

親会社株式を対価とする株式交換ですので、三角株式交換となります。(なお、株式交換完全親会社の有する株式交換完全子会社の株式には、自己株式の原始的な割当てになりますので、交付することができませんので注意が必要です 769条)

http://hhe-hd.hankyu-hanshin.co.jp/pdf/090804a.pdf

この場合に、株式交換完全子会社(阪神エアカーゴ)に対して、株式交換完全親会社株式(阪急阪神交通社HD株式)をそのまま交付してしまえば、大本の親会社と中間子会社の100パーセントの親子関係が切断されます(阪急阪神交通社の株主は阪急阪神HDのみから、阪神エアカーゴの株主も新たに阪急阪神交通社の株主になるため)。

したがって、100パーセントの親子関係を維持したまま、グループ再編をするひとつの手法として三角株式交換が利用される事例ということいえます。

(三角株式交換は、親会社が外国の証券取引所に上場している会社であり、中間子会社が日本にある外国会社(非上場)の場合に用いられるものとも想定されていたかと思われます)

中小企業であっても、中間子会社を設けているような会社であれば、100パーセントのオアや子関係維持のために、三角株式交換の手法の多様が広がるかもしれません。ここで、中間子会社として想定できそうなのは資産管理会社とかでしょうか。

まだまだ私も三角株式交換に関与したことがありませんが、その利用可能性についてはまだまだ勉強しなければいけないなと思いました。

では、また。

(株式会社に発行済株式を取得させる株式交換契約)
第768条  株式会社が株式交換をする場合において、株式交換完全親会社が株式会社であるときは、株式交換契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  株式交換をする株式会社(以下この編において「株式交換完全子会社」という。)及び株式会社である株式交換完全親会社(以下この編において「株式交換完全親株式会社」という。)の商号及び住所
二  株式交換完全親株式会社が株式交換に際して株式交換完全子会社の株主に対してその株式に代わる金銭等を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項
イ 当該金銭等が株式交換完全親株式会社の株式であるときは、当該株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに当該株式交換完全親株式会社の資本金及び準備金の額に関する事項

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2009年9月12日 (土)

吉本興業TOBへ

吉本大好きです。

そんな吉本興業がTOBによるゴーイングプライベート(非上場)を選択したみたいですね。

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090911/biz0909111524012-n1.htm

MBOであることは書かれていませんでしたが、どうなんでしょう。MBOになると、利益相反について過度に注目される昨今ですから、避けたのかもしれないですね。

手続き的には、①TOBで多数の株式取得、②取得に応じなかった株主のために、種類株式発行決議、③普通株式に全部取得条項付与(対価は全部取得株式1株につき種類株式0.00003とか)、④全部取得条項付株式の取得、⑤1株に満たない割当て株式を裁判所の許可を得て売却、⑥代金を端数の株主に交付

のコンボでしょうか。

吉本興業さんなんで、当て馬で発行する種類株式はおもろい名前をつけてくれたらと思います。

では、また。

2009年9月 9日 (水)

吸収分割で無対価の場合に分割会社で債権者保護手続がなくても大丈夫か?

9月の連休はシルバーウィークというらしいです(いまさらかよっ)

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吸収分割の場合に分割会社及び承継会社で債権者保護手続をする必要がある場合があります。(分割会社では、789条1項2号、承継会社では、799条1項2号)。

この条文がまた、読みにくいことこの上なし。実務上、非常に大切な条文なのですが、どんだけ1条に詰め込むねんっ!!と突っ込みを入れたくなるぐらいのボリュームでおなかいっぱいになります(関西人がみんな突っ込みがうまいと思ったら大間違いです。私は、ボケでもツッコミでもございません)

そもそも債権者保護手続が必要な理由は、承継会社の債権者からみれば、なにやら分割会社から財産が流れてくる(しかも債務超過事業かもしれない)のでぼけっとしていられず、その財務状況を知る必要がある点にあります。また、分割会社の債権者からみれば、承継会社に財産が流れて、承継会社からその対価を与えられるので財産的には変動がないかもしれませんが、自分の債権を新たに承継会社に請求する局面が出てくることもあるので、こちらもぼけっとしてはいられない点にあります。

手続的な注目点としては特に、分割会社における債権者保護手続(しかも、分社型=承継会社の分割対価を分割会社自体に交付する場合)の場合には、なにやらもりもりと記載されておりますところがポイントかと思われます。

※分割型(承継会社の分割対価を分割会社の株主に交付する場合)の場合には、同号後段のかっこ書で、すべての債権者を対象に債権者保護手続が必要であるとされていますので、わかりやすいです)

では、分社型の場合に、債権者保護手続の対象となる債権者の範囲はどうなっているのでしょうか?条文では、下記のようになっております。

念仏のように3回唱えると理解できるといいのですが…

789条1項2号:吸収分割後吸収分割株式会社に対して債務の履行(当該債務の保証人として吸収分割承継会社と連帯して負担する保証債務の履行を含む。)を請求することができない吸収分割株式会社の債権者 (…以下、分割型に付、記載省略)

(※傍線は、筆者による)

では、ここで、承継会社から分割会社に株式等が交付されず、無対価であった場合には、どのような状態が生まれるのか考えてみたいと思います。

承継会社に流れる純資産がプラスの場合には、当然にその分が分割会社の資産から流出することになります。本来はその対価として承継会社から株式なりが交付されることになるのですが、会社法ではまったく株式等を交付しないことも認められるようになりました。

とすると、分割会社とすれば、承継会社に財産が流出するのに対してその見返りがまったくないわけになります。

私、個人的には、分割会社は損をするなぁと思ってしまいます(分割会社の株主が実は、承継会社の株主でもあるような場合は想定しない)。しかし、この場合であっても上記条文に当てはめれば、依然として分割会社に債権を行使できる債権者に対しては、債権者保護手続の対象から外れてしまいます。

なにか当該債権者にとっては理不尽なような気がします(そもそも、私の理解しているこの構造が間違っているのかもしれませんが)。

(理屈では、株式を対価として、その後に分割会社が株式併合し、株式交付前の株式数に収まる場合ではきちんと対価を受けているし、この場合と利益状況は同じではないか、だから無対価の場合もなんら問題はないのではないか、ということもなりたつとは思いますが…)

組織再編で一方の会社が債権者保護手続が不要となるのは、なにかしっくりこないです。

では、また。

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2009年8月22日 (土)

組織再編(計算)の入門

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本屋をぶらぶらとしていて、そういえば、計算規則がまったくわからないとき(今も自信なし)に、とっかかりとして読んでいたなとふと思いだしので、なつかしさ備忘録として挙げておきます。

4月1日の計算規則の改正前のものですが、基本となる考えを踏襲する意味では、今読んでも参考になりますね。

関西では、10月に金子先生の研修会が大阪で開催される予定です。

ぜひ出席させていただこうと思っている次第です。

では、また。

2009年8月20日 (木)

組織再編の際に参考とさせていただいてる書籍の案内

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計算規則の改正にいち早く対応しているのは、真ん中の本ですね。

感覚的には、金子先生は無駄を徹底的にそぎ落として効率化されたM&Aを目指しておられ、理論・実務・書式シリーズは、上場会社も念頭に置いた重厚な印象を受けております。たとえるならば、金子先生の著書がユニクロであって、その他の2冊がプラダって感じです。(例えが下手だ)

どちらもひな形が参考になるだけでなく、考え方や応用編についても大変に勉強になるところです。

では、また。

2009年8月19日 (水)

建設業法の合併に係る建設業法上の事務取扱いの円滑化等について(資料編)

http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1206241131187/files/keisingappei.pdf

合併の際に消滅会社が許認可を受けていた権利義務が存続会社のもとでどのような取扱を受けることになるのかは、重要な点です。

各々の法律で、その取扱が明記されている場合は、解決の糸口としてはわかりやすいのですが法律になにも明記していない場合は、許認可にかかるガイドラインや通達に頼ることがでてきます。

建設業関係では、標記のものがその道しるべになります。

自分のためのメモとして。

2009年8月18日 (火)

なぜ株式交換に債権者保護手続の条文が組み込まれているのか?(3)

((1)(2)に引き続き、株式交換完全親会社については「親会社」といい、株式交換完全子会社については「子会社」という)

(1)(2)が新株予約権付社債を発行している場合の債権者保護手続についてでした。

次に、債権者保護手続の規定が設けられているパターンは、株式以外が対価として交付されるパターンの例です。

まず、前提として親会社は、株式交換の際に子会社の株主に対価として、株式以外を交付することもできます(768条1項)(「金銭等」を交付することとし、当該金銭等は、株式、社債、新株予約権、新株予約権付社債、株式等以外の財産とされている)。

この場合は、新株予約権付社債の場合と異なり、親会社の要件をチェックすることで、親会社において債権者保護手続が必要であるかが問題となり、子会社は債権者保護手続とは関係はありません。

この対価がすべて株式であれば、親会社からの現実に財産が流出することはないので、債権者を害することはありません。しかし、現金や社債等の現実の財産を子会社株主に交付するということは、親会社の財産が流出することを意味します。

したがって、親会社の債権者を害する可能性があるので、株式以外を対価にする場合には債権者保護手続をしましょうってことになります。

しかし、株式以外が対価であればかならず債権者保護手続をしないといけないわけではなく、対価が少額の財産である場合には不要となっています。この少額財産基準が、799条1項3号前段(施行規則198条)です。当該規定によれば、株式以外が、対価総額の5%未満であれば債権者保護手続不要となっています。

なぜ「5%」なのかは私にはわかりません。組織再編の簡易手続との平仄を重視したのでしょうかね。

では、また。

2009年8月17日 (月)

なぜ株式交換に債権者保護手続の条文が組み込まれているのか?(2)

鼻のあたりに白いこなが付いていると思ったら…うどんの粉でした(自虐)

前回に引き続きまして、新株予約権付社債の社債の部分と新株予約権のそれぞれの取扱いについてですがまず、社債の取扱いです。

社債の取扱いについては、768条1項4号ハにおいて、次のように規定(一部筆者訳あり)されています。

「株式交換契約新株予約権(※)が、新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは、株式交換完全親会社が当該新株予約権付社債についての「社債に係る債務を承継する旨」

(※親会社の新株予約権の交付を受ける子会社の新株予約権者の有する新株予約権のこと:「条文上の定義規定は768条1項4号」)

社債に係る債務を承継するって文言がでてきました。社債=債務ですが、この債務を子会社から親会社が包括的に引き継ぐんですな(重要)。

そして、新株予約権の取扱いですが、株式交換効力発生日に株式交換契約新株予約権が消滅する旨が定められています(769条4項)(重要)。そして、その代わりに親会社が新株予約権を交付することとなります(768条4項)。

「新株予約権付社債」、と一単語ですが、このように、社債部分は、子会社から親会社に承継される処理をする一方で、新株予約権は消滅+交付といった処理がなされることになります。

会社法は「因数分解」の技術が尽くされているとよく言われますが、ここでもその技術が使われているわけです。

この新株予約権付社債が子会社で発行されれいる場合には、親会社に債務が承継されるため、子会社の新株予約権の社債の部分について、親会社においては債務が増え、債権者の引き当てとなる財産が減少します。よって、親会社では、全債権者に対して債権者保護手続が必要となります。子会社の観点からは、新株予約権付社債権者の最終的な社債の弁済者が親会社になり、責任主体が変わりますので当該新株予約権付社債権者についてのみ債権者保護手続が必要となってきます。

では、子会社の新株予約権付社債権者のみならず、単純な社債権者に対しても債権者保護手続が必要なのかと思われるかもしれませんが、単純な社債権者は、株式交換後においても子会社が債務者である位置づけが変わらないので債権者保護手続の対象者にはなりません。

ちなみに、わざわざ、新株予約権の消滅と交付という形と、社債の引継ぎという因数分解的な構成をとるのであれば、子会社の新株予約権者に現金を交付して新株予約権を絶対的に消滅させたらいいじゃないかと思われるかもしれません。しかし、合併のように749条1項4号のように、新株予約権者に新株予約権又は金銭といった定めが株式交換ではおかれていません。株式交換では、新株予約権者に交付できるものは新株予約権に限定されております(768条1項4号)。子会社は消滅しないので、現金を交付することはできないのですね。

以上が新株予約権付社債を発行している場合の債権者保護手続バージョンです。

続く

2009年8月16日 (日)

なぜ株式交換に債権者保護手続の条文が組み込まれているのか?(1)

甲子園優勝候補に勝手に上げたチームがどんどん負けています。私の長年の勘も当てにならないものです(報告)

さて、会社法第2条第31号の株式交換の定義規定を見てみますと、株式交換とは、「株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させること」と規定されています。

合併や会社分割が会社組織自体のM&Aというのであれば、株式交換は、株式を通じた間接的M&Aということができます。会社の100パーセントの株式を取得すると議案はなんでも通せますのでね。議案を通じた支配という意味で「間接的」なM&Aのスキームです。

さて、株式交換は上記のように株式を取得させることによって、完全親会社と完全子会社の関係を創設することになります。株式の移転を念頭に置いているため、財産の移転は通常考えませんので、なぜ債権者保護手続きの手続がおかれているのか一見すればわからないところです。

ちなみに、債権者保護手続の条文上の位置取りは、株式交換完全子会社(長いので、以下、「子会社」とする)では、789条1項3号。株式交換完全親会社(以下、「親会社」とする)では、799条1項3号です。

まずは、子会社で新株予約権付社債が発行されているときの一場面でなにやら債権者保護手続が必要であるみたいです。

債権者保護手続の対象者ですが、子会社サイドでは、新株予約権付社債を発行している場合の「社債権者」です。一方で、親会社サイドでは、「すべての債権者」です。

なぜこのような者の保護のために債権者保護手続が必要なのか?

それは、子会社において発行している「新株予約権付社債」の処理のポイントにあります。新株予約権付社債は、取扱いとしては、新株予約権の部分と社債の部分に分けて考える必要があります。

続く

2009年8月15日 (土)

組織再編の新株予約権買取請求のできる者と買取通知

吸収型再編の消滅会社等では、新株予約権者が新株予約権買取請求することができる旨の定めがあります(787条)(新設型でも808条に規定があります)。これは、新株予約権者であればだれでも行使ができるわけではなく、下記に該当する場合に行使することができます。

まず、その1。組織再編が行われた際の存続会社等の新株予約権の取扱いを事前に定めることができる旨がありますが(236条1項8号)、この事前取扱いに反する新株予約権の内容を組織再編の契約等で定められた場合には、新株予約権買取請求権を行使することができます。

その2。上記の亜流といっていいかわかりませんが、236条1項8号の定めがそもそもない場合であっても、存続会社等は、消滅会社の新株予約権者に存続会社の新株予約権を交付することができます(合併の場合は、会社自体が消滅するので、例外的に金銭の交付も可)。この新株予約権を交付する場合にも(合併の場合に金銭を交付する場合にも)、当初の消滅会社等の新株予約権の内容が変わるということで、新株予約権買取請求権を行使することができます。

236条1項8号の規定があって、そのとおりに新株予約権を新しく交付する場合以外は、必ず新株予約権買取請求の機会を与えないといけないのですね。

ここで、感想。私には、消滅会社等が、あらかじめ合併した際には存続会社の株式を交付するなどと定めてよいのかという疑問がありました。なぜなら、どんな会社と合併するかどうかも未定なわけですし(合併しないかもしれませんし)、勝手に存続会社まで拘束するなよって感覚をもっておったわけです。もっとも、組織再編が包括承継だから消滅会社等で定めらた取扱いは承継するのが当たり前だろっという反論もあろうかと思います。

しかし、当該規定はどうやら、新株予約権者の保護のために設けられている規定のようです。新株予約権者は債権者という位置づけでもありますので、会社の事情(組織再編)で予約権の内容が変わっては困るという配慮なのではないかと思います。

「なるほど、ここまでで、新株予約権者が買取請求することができる場合がわかった。では、236条1項8号の規定どおり新株予約権の買取請求権者はいないな」と勝手につぶやきながらお仕事をしておったのですが、次の789条第3項を見てますと新株予約権者になにやら通知(又は公告)をしなければならない旨の規定がでてきます。

そこで、また、はたと私はフリーズしてしまいました。というのも、そもそも買取請求することができない者に通知する必要性はあるのって考えてしまったからです。

でも、まぁよくよく考えたらなんら通知しなかったら、新株予約権者がいつから予約権先の会社が変わるのかわからないでしょうね。どんくさい自分に少々腹が立った次第です。

その他にも次のとおり理由があるみたいです。236条1項8号の内容と新しい規定の『当該合致があるか否かが争いになる得るので、会社による通知は、すべての新株予約権者に対して行う必要がある』(江頭憲治郎『株式会社法』(初版 有斐閣)776頁)

会社法ってやつはよくできてるなと一人で関心しております。

では、また。

2009年8月14日 (金)

新設分割における分割会社の債務超過と設立会社の資本金は(4)

では、計算規則改正前の位置づけが改正後にどのように変わったのか、もしくは変わっていないのかについてです。

ここで、大きく取り扱いが変わっていたら今までの記事はなんだったのか…という批判があろうかと思います。

しかし、そこは序論を記載する段階で既に確認済みでありまして、取扱いは大きく変わっておりません。

変わった点というのは、80条の規定を引き受けた新49条1項のカッコ書において、

『企業結合会計基準における「事業」に該当しない財産が新設分割の対象となった場合に時価処理によるべき規定がおかれている点』

でしょうか。「商事法務1862号13頁(2009.4.5)」

この説明は私の能力を大きく超えますのでここでは省略します。

では、また。

2009年8月13日 (木)

企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針(資料編)

http://hrsk.jftc.go.jp/dk/03.asp?process=0&filename=dk003200.xml&key=

自分のためのメモとして。

新設分割における分割会社の債務超過と設立会社の資本金は(3)

80条の規定の場合の資本金の額の計算式の基礎(前回までのまとめ)

「設立時株主払込資本額」 = 「新設型再編簿価株主資本額」-「新設型再編対価簿価」

では、具体例①:現実の受入財産がマイナスの場合(対価としては100パーセント株式を想定)

設立会社が現実に分割会社より100万円の資産と200万円分の負債を受け入れた場合には、上記の式に代入すると、「新設型再編簿価株主資本額」が、いきなりマイナスになります。とすると、新設型再編対価簿価のことを考慮するまでもなく、「設立時株主払込資本額」はマイナスになります。

(上記のように「新設型再編簿価株主資本額」が計算上マイナスの場合には、当該マイナス額を80条5号に規定に沿って、設立時利益剰余金の額(その他利益剰余金)にマイナス計上することになります。いきなり繰越損失のある会社の誕生ですね)

具体例②:受入財産はプラス(対価としては株式以外(社債)が一部ある場合を想定)

設立会社が現実に分割会社より100万円の受入財産を得たことにします(資産200万円、負債100万円で、その差額100万円が受入財産)。一方で、設立会社は、その受入財産の対価として株式以外として、帳簿価額200万円分の社債を分割会社に発行したとします。この場合には、具体例①と比較すると、「新設型再編簿価株主資本変動額」は一応プラスとして維持されました。しかし、「新設型再編簿価」である200万円を控除することで、結果として、「設立時株主払込資本額」が計算上マイナス100になります。

(ここでの「設立時株主払込資本額」の計算上のマイナス100万円の穴埋めは、14条により、「資産ののれん」に計上して会計処理することになります)

具体例①②ともに、設立時払込資本額が計算上0円未満になります。しかし、株主が払い込んだ額がマイナスとなるような資本的取引(用語が適切ではありませんが)はありえないため、0円として処理することになります。すなわち、株式の対価分として、払込んだ部分はないということです。これが、80条第1号カッコ書きの(零未満である場合にあっては、零)という意味合いになります。

では、このような、設立時株主払込資本額が0円未満の場合には設立会社の資本金はどうなるのでしょうか?

もはや前置きが長く力尽きましたので、結論をば。この場合には、株主の払込資本額が存在しないことになりますので、株式を発行したとしても、資本金に1円も計上することができないことになります。見事な0円会社の出来上がりです。資本準備金も、資本剰余金も利益準備金0円です。(おそらく、利益剰余金だけは具体例①の際にマイナスになり、具体例②の時には0円になるかと思われます)

では、また。

2009年8月12日 (水)

新設分割における分割会社の債務超過と設立会社の資本金は(2)

((1)に引き続き、以下、断りのない限り条文は、平成21年4月1日改正前計算規則による)

80条の規定についてです。80条の私の六法の表題は、「単独新設分割の場合における新設分割設立会社の株主資本等」とされています。株主資本等についての規定ですから、株主資本の一項目である資本金の額を定める際の参考になる条文です。単独新設分割の場合には、当該規定が強制適用されそうですが、分割型である等の要件を満たしているならば(1)で説明した81条の規定との選択が可能となります。

単独新設分割(分割会社1社の場合)の想定としては、自社の事業の一部を子会社化する場合の新設分割が多いと思われます。したがって、分割会社単独での新設分割の場合の株主資本の取り扱いを定める計算規則80条の規定を適用することが中小企業の場合には実務上多いのではないかと思われます。

では、80条を適用する場合に、分割会社が債務超過であった場合はどうなのかについて検討します。その他付帯する部分についても勝手に言及します。

この80条に従って計算される新設分割に場合における資本金の額は、設立時株主払込資本額の範囲で決定することになります。

設立時株主払込資本額」 = 「新設型再編簿価株主資本額」-「新設型再編対価簿価

で算出された額(0未満であっては0円)です。う~ん、漢字をみただけではなんのこっちゃわかりません。

難しい用語ですが、「新設型再編簿価株主資本額」とは、2条3項57号に規定があり、誤解を恐れずにおおざっぱいえば、設立会社が分割会社から「受入れる現実の財産」を表します。

また、「新設型再編対価簿価」ですが、60号に規定がありまして、これもおおざっぱにいえば設立会社が分割会社に「対価として発行する社債や新株予約権」のことです(対価が株式でもののことですね。ちなみに新設分割では、対価として株式を1株でも発行しなければ、株主が存在しない状態になりますので、対価として株式が発行され、プラスアルファで社債等が交付される場合というこです)。

(※自己株式はないので、「株式の交付」という用語は不適切ですので「株式の発行」としております)

分割会社への対価を一部株式以外にするということは、その部分につき資本取引というより、受入財産と社債等の物々交換というイメージです。したがって、株主が払込んだ資本額ではないと認定されるために、株式の対価ではない分を、現実に受け入れた財産分より差っ引いてしまえということです。受け入れた財産と交付した社債等の物々交換ですかね、イメージ的には。

実務的には、新設型再編対価簿価を控除する規定振りではありますが、設立会社があえて対価として社債や新株予約権を交付することは複雑になるのであまりないのではないかと思います。対価はほぼ100パーセント株式となるのが通常かと思われます。ちなみに私は対価として社債や新株予約権を交付したような新設分割にはまだあっていません。

以上より、「設立時株主払込資本額」は、株式を対価にして分割会社より受け入れた財産をベースにして決定することになります。

続く

設立時株主払込資本額」 = 「新設型再編簿価株主資本額」-「新設型再編対価簿価」の範囲

2009年8月11日 (火)

新設分割における分割会社の債務超過と設立会社の資本金は(1)

(以下、序論と同じく断りのない限り条文は改正前会社計算規則です)

まずは、81条の規定について、標題の件につき検討します。(ちなみに、私が参照している六法の計算規則81条に関する表題には、「株主資本等を引き継ぐ場合における新設分割設立会社の株主資本等」とされています)

81条適用の要件としては、①分割型を採用すること、②設立会社の対価(用語に適切に従うと「新設型再編対価」)が全部設立会社の株式であること(すなわち、対価として、社債や新株予約権を用いないということ)、③81条を適用すると定めたこと

が挙げられると思います(吸収分割の場合の64条と平仄を合わせています)。

81条選択の効果としては、分割会社の株主資本の部の資本金等(資本金・資本準備金・資本剰余金・利益準備金・利益剰余金)の計数をそのまま引き継ぐことができることです。ただし、分割会社では、447条以下の規定にのっとって資本金・準備金・剰余金の減少の各手続きを必要に応じて別個に履修する必要があります。また、当該各計数の合計額の範囲内で、自由に組み入れることができることになります。計数の引き継ぎができることになります。

ということは、あくまでも分割会社の資産や負債といった現実にある財産とは一定の距離を置いて、設立会社の株主資本の計算ができることになります。すなわち資産より負債のほうが多い場合(「債務超過」とここでは称する)であっても関係なく、設立会社の資本金を定めることができることになりそうです。BSをぱかっと二つに分けた感覚ですかね、はい。

次回の説明になりますが、通常は設立する会社が受け入れた現実の財産をベースに株主資本の内容の検討になるところとはまったく別個の処理になりますねぇ。

(以下は、私の勝手な推論の範囲であって、間違っている可能性があり、また、メモの域を出ていないものですので、読み飛ばしていただいてたほうがよろしいかと思われます。

81条は、いわゆる分割型を採用する必要があるので、実務上多様されることはないと考える。しかし、持分プーリング法的に計数を引き継げることから、利益剰余金の引き継ぎが認められるメリットがある。このメリットは具体的には、配当原資に用いたり、自己株式の取得の財源にすることとして現れる。)

続く

2009年8月10日 (月)

新設分割における分割会社の債務超過と設立会社の資本金は(序論)

暑さには強いほうだと思います(報告)

平成21年4月1日の計算規則の改正により、計算規則における組織再編の部分は、会計の基準に従うという内容が表にでることで、その条文の様相が様変わりしております(条文番号が大幅に変わり、ちょっとした憤り(?)を勝手に感じているのは私だけでしょうか)。

ここでは、最近企業再生の分野等で、特に注目されている新設分割にスポットを当て、改正前の計算規則の取扱がどうだったのかをまず検証することをメインとし、その後の計算規則改正により、従前の取扱は変わっているのかについて付記して調査することとします(株式会社を念頭に置きます)。

なぜ、計算規則改正前について言及するのかといいますと、改正前のものについての解説書の割合が改正後の解説書より多いため、そちらから時系列的に検討するほうがよりわかりやすくなるのではないかという理由からです。それと、こちらのほうが理由が大きいのですが、個人的に改正前計算規則において大きな勘違いをしていた点があったので、その確認も込めてです。

また、私の知り合いであるNさん(女性でお酒が大好きなかた)より、でご指摘があったのですが、組織再編に関する計算書類作成のミスと司法書士の責任の関係がどのようなものなのか説明してほしいとのことでしたので、いつかの題材にするべくまずは計算規則の理解からと思った次第でございます。(想定される具体例としては、計算規則に則っていない株主資本の変動を認めるような書類を会社関係者から提示された場合にそれを見過ごした場合や、会社からいただいた資料をもとに、こちらで法務局提出用に作成した書類に間違いがあった場合の扱い。果ては、公正証書原本等不実記載罪に構成要件に該当するのかどうか等です)

では、まず計算規則の理解としてスタート(以下断りのない限り会社計算規則の条文です)。

新設分割における株主資本の取扱いを定めた条文は、80条と81条、82条にあることがまず目につきます。

大企業の場合には、共同新設分割の手法が多様されるところかと思いますが(82条)、中小企業の場合には単独での新設分割のスキームのほうが目立つというのが私の個人的な印象です(80条)。

また、81条は、設立会社の株式を分割会社の株主に交付する、いわゆる「分割型」の会社分割の際に適用できる会計処理です。

続く~次回より各論的に。

2009年8月 6日 (木)

外国にある会社への債権者保護手続上の催告書送付について(3)

ポイント3:日本にある会社との平仄

通常の日本にある中小企業が催告書を送付する場合には、なにも気に留めず日本語で記載して日本にある会社や個人(以下、会社を念頭にする)に送付します。(そもそも日本にある会社に英語で催告書を送るほど、度胸やユーモア(?)はありません)

ちなみに、前記(1)ブログの先生の私のコメントに対するご指摘では、日本におけるいわゆる外資系の会社であれば英語が必要となるケースがある旨についても言及されてました。

では、前記(2)までの記事を踏まえますと、外国にある会社に向けた催告と、日本にある日本法人への催告で、催告書の記載内容が違ってくることになります。一方が言語並存型、もうひとつが日本語単独型となります(勝手に言語並存型、日本語単独型と称しております)。

これ自体は、日本語の文言が同じであり、片一方は外国語を「追加」したものであり、形式的な差であるので、内容的には、実質的に同質であるので催告として、問題はないとの結論が導かれそうです。

では、この射程として、債権者ごとの差がどこまでの範囲で許容されるのかという点についても考えてみる必要があります。わざわざしちめんどくさい(ひちめんどくさい?)ですが、債権者ごとに文言どころか内容まで代えて送付することが許されるのかという点まで考えておく必要があります。(以下具体例)

Aさんはなにごとも熟考する債権者であって、「債権者保護手続を長い期間置いてほしい。もし、置いてくれなければ、異議をいうぞ。それと、いつ着たのかわかるように配達証明で送達してね」と言ってます。

一方で、Bさんは、「異議なんてないし、A4一枚でいいし、適当にしといて」といってます。

このような債権者の態度に沿う形で、催告内容面についていえば、Aさんにはこの通知から2箇月以内に申立てくださいという内容。Bさんには、この通知から1箇月以内に申立てくださいといった内容。また、形式面では、Aさんには配達証明書付の金額的にも高価なもの、Bさんには、お金のかからない手渡し。

このように期間や送達形式面が違うことが許されるのでしょうか(上記の言語並存型・日本語単独型の形式面との差とは質的に異なる)。

催告の一つ一つは法定要件を満たしているとすれば、問題はなさそうです。さらに、株主平等原則といったような、債権者平等原則っていうのはあるんでしょうか。なにをもって債権者の平等というのかいささか不明確なところ(金額によるのか?)です。また、会社法で定められた法定の要件が債権者の最低限の保護とすれば、保護がとられている以上、も他の債権者と催告内容が異なることをもって反論(現実的な反論の場としては、無効の訴えが該当すると思われます)することはできないのではないかと思います。

したがって、債権者ごとに取扱いまで平等にしなければならない要請はなく、催告の内容についても債権者ごとに必ず同一内容である必要はないのではないかと考えております。

最後に、司法書士としては異なる催告書の形をとった場合に、登記申請の添付書類たる上申書に工夫をこらす必要がありそうです。「よ、名人芸」といった上申書の作成をする必要があります。が私はまだまだ立派な代書ができません。

では、また。

2009年8月 5日 (水)

外国にある会社への債権者保護手続上の催告書送付について(2)

結論だけいえばそれだけなんですが、私の思考回路の整理のためだらだらと続きます…

ポイント2:現地言語と日本語の並存の採用がよいのか

では、言語選択として現地言語がよりよいという立場の射程として、現地言語のみの記載でよいのか、それともそれに付加して日本語にもよることがよいのかどうか検討します。

現地言語であれば、実体法上の催告として受け手たる債権者の会社において理解できるので、確かに有益です。では、この場合に登記の達人である司法書士は、登記の面ではどのように処理するのか問題になりそうです。外国語で記載したあるものに対してなんら手を加えず上申書につづって催告しましたよってことで、はい終わりとして問題はないのでしょうか。登記官にしてみれば、外国語で記載してあれば本当にこれ有効な催告なのかわからないところでしょう。ですので、登記申請も見据えて登記官のご機嫌もうかがいながらのためには、日本語の記載あったほうがよさそうです。

では、具体的には?

この点につき、外国会社の定款が参考になろうかと思います。外国会社の定款作成等では、まず現地言語で記載し、その訳文を下になぞらえて記載する運用が図られています。言語の並存ですね。この場合には、登記官は、外国語のところはいっさい無視して、日本語表記についてのみ審査対象になるみたいですので(実例)、日本法人扱いの催告書と同様の文言記載で問題がないでしょう。

したがって、催告書は現地言語(又は英語)と、日本語での表記を並存させることがよいと考えます。

ポイント3:日本法人との平仄は

続く…

2009年8月 4日 (火)

外国にある会社への債権者保護手続上の催告書送付について(1)

組織再編や資本金の額の減少におけるオーソドックスなパターンでは、債権者保護手続として官報公告や催告が必要です。

催告書はどれだけの債権額の債権者さんに送付すればいいのかは実務上、よくよく悩むところですが、今回は外国におられる債権者さんへの送付手続の留意点はなんなのかという点について備忘録的に記載します。(会社法上の外国会社と区別するために外国にある会社等の表記を用いております)

この点につき、ずっと疑問に思っていたところ、いつも勉強させていただいている先生のブログに当該論点に関する記述がありましたので質問させていただいたところです。先生ありがとうございました。お礼申しあげます。

司法書士のオシゴト

自分の中でそっとしておけばよいのですが、私のように外国アレルギーの田舎司法書士で、かつ、ブサイクであっても催告書の送付を海外にすることもありますので、この機会に記載しておきます。(当然ですが、前提としては外国にある会社であっても債権者であれば、催告をする必要があります)

ポイント1:言語選択の強制

まず、疑問として、この催告は現地の言語(または英語)で記載しなければならないのかということがでてきます(言語選択の強制)。日本語圏内ではない会社に、日本語表記のものを送るのはナンセンスではないかということです。

(ここで現地の言語か英語のどちらがよいかという点も気になるところですが、英語が公用語として用いられている現状をみても英語でも代替可であろうと思います。さらに、多数の国への催告書の発送を前提として考えると、債務者に多数の言語を用いることを強制しかねないので、ふさわしくないと思われます)

この点につき、会社法上、催告すべき言語についての要求がありませんので(当たり前といえば当たり前ですが)、日本語表記でもよいのではないかとも思えます。また、法律行為の最終着地地点である登記上においても、登記官の形式的審査権限の範囲では、催告書に会社法が要求する法定要件が満たされていれば、たとえ日本語であったとしても問題はないとして処理されると思われます。

しかし、実体法として問題があるのではないかと思います。そもそも債権者である会社自身が催告の意味を理解していなければ、有効な催告とはいえないのではないでしょうか。私なりに理解するところ、催告といえども法律行為(合同行為的)ですので、法律行為が受け手によって理解できる範囲のものでなければならないと考えています。すると、日本語に比べ現地言語(または英語)によるほうが、意思の伝達の観点からはすぐれているのではないでしょうか。また、外国にある債権者である会社に、わざわざ日本語から外国語への翻訳を頼るという債務者として立場にも違和感があります。

したがって、催告は現地の言語によるべきだと考えています。

万が一の債権者の保護としては、834条の無効の訴えで図られる構図になるのではないかと思われます。

ポイント2:現地言語との並存性の採用がよいのか

続く…

2009年8月 2日 (日)

企業結合会計の基準の出元のメモ

企業会計審議会の業務の民間委託が進むなかで誕生したのが、

「財団法人財務会計基準機構」です。通称FASE(Financial Accounting Standards Foundation)。

その運営している組織として、「企業会計基準委員会」があります。通称 ASBJ(Accounting Standards Board of Japan)

組織再編の際の企業会計基準に作成にあたっているのも上記のASBJです。

最近、ネタ仕込みに参考にすることがあるので自分のためのメモとして。

企業会計基準委員会

では、また。

2009年7月28日 (火)

株式買取価格と利息(786条第4項)

株式買取をめぐって調停中のTBSと楽天ですが、やはりTBSさんは仮払いをされるようです。利息だけでも年6分ですからねぇ~

http://www.asahi.com/showbiz/tv_radio/TKY200907270353.html

~引用開始~

TBSホールディングスは27日、楽天が保有しているTBS株の買い取りについて、楽天に買い取り価格の一部として400億円を仮払いすると発表した。両社は現在、正式な買い取り価格を巡って東京地裁で調停中。係争が長引けば、TBS側に年6%の利子の上乗せ負担が生じるため、31日に一部を仮払いすることで利子負担を軽減する。

 今年4月にTBSは1株主の出資比率が33%以下に制限される認定放送持ち株会社に移行。楽天は経営権を取得できなくなった。このため、楽天は保有するTBS株の買い取りを要求した。しかし、両社の主張する価格の隔たりは大きく、5月に双方が東京地裁に「公正な買い取り価格」の決定を申し立てて、調停中だ。 ~引用終わり~

(株式の価格の決定等)
第786条  株式買取請求があった場合において、株式の価格の決定について、株主と消滅株式会社等(吸収合併をする場合における効力発生日後にあっては、吸収合併存続会社。以下この条において同じ。)との間に協議が調ったときは、消滅株式会社等は、効力発生日から60日以内にその支払をしなければならない。
2  株式の価格の決定について、効力発生日から30日以内に協議が調わないときは、株主又は消滅株式会社等は、その期間の満了の日後30日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
3  前条第6項の規定にかかわらず、前項に規定する場合において、効力発生日から60日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、株主は、いつでも、株式買取請求を撤回することができる。
4  消滅株式会社等は、裁判所の決定した価格に対する第1項の期間の満了の日後の年6分の利率により算定した利息をも支払わなければならない。
5  株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日(吸収分割をする場合にあっては、当該株式の代金の支払の時)に、その効力を生ずる。
6  株券発行会社は、株券が発行されている株式について株式買取請求があったときは、株券と引換えに、その株式買取請求に係る株式の代金を支払わなければならない。

では、また。

2009年7月26日 (日)

公告今昔物語②~組織再編における会社連名ではなく、単独での公告

国立印刷局『決算公告のおすすめ』をみておりますと、会社合併・会社分割等の頁におきまして、会社の単独型というものがでてきます。単独型とは、連名型に対比した言い方です。

合併の単純な2社合併の場合を想定すると、単独型とは、消滅会社は消滅会社の名義で、存続会社は存続会社の名義で単体として公告をすることをいいます。また、連名型とはお察しのとおり、消滅会社及び存続会社の両会社が連名となって一つの公告を掲載することをいいます。

雛形として、単独型の記載を見受けますが、会社法施行後、実際に官報公告で単独型を見たことがありません(ちなみに、改正前商法の際の扱いはよくわかりません、かつ、調査しておりません)

この点に関して、鈴木龍介他『法定公告の手引き』(商事法務 2007)によりますと、改正前商法の簡易合併の取扱いの影響である旨が記述されています。

「簡易合併の存続会社は、取締役会決議で済み、消滅会社は株主総会の開催が必要であったため、決議機関も決議時期も異なり、かつ官報公告の見本もそれぞれ個別の公告になっていたからである。」(上記より引用 98頁)

この観点からは、会社法施行後も引き続き簡易合併がありますので(略式合併については新設)、この取扱いを維持する(維持される)のが実務上の慣例としては通常かなと思ったもします。が、実務上単独型はみなくなりました。なぜですかねぇ~。

したがって、記載として連名型が多くなってきました。この場合には、公告にはそもそも株主総会の決議等(合併に必要な各機関の決定)の記載は効力発生日とともに必要的記載事項ではありません。

しかし、あえて、記載するとすれば、「(省略)~効力発生日は平成21年○月○日であり、甲は会社法第796条第3項、乙は同第784条第1項に基づき株主総会の承認決議を得ずに合併を決定しております」とすることになります(存続会社では簡易合併を選択し、消滅会社では略式合併を選択した場合)。

滅び行く単独型の公告をすると費用も高くなりますので、今後見ることはないのではないでしょうか(日本オオカミみたい)。単独型の実益があれば、ご指導ください。

では、また。

2009年7月25日 (土)

公告今昔物語①~資本金の額の減少における総会決議日

以下の理由により、旧商法という呼称を使っておりましたが、これからは改正前商法とします。

旧商法はいつの商法か~いとうDiaryより

官報公告をみていて改正前商法の影響が強く残っているなと感じる場面が多々あります。まず、そのうちのひとつが資本金の額の減少公告における「株主総会の決議の日」の記載です。

これは、資本金の減少の債権者保護手続における改正前商法376条に、公告は株主総会の決議の日より2週間以内にしなければならないと定められておりました。そして、株主総会決議の日は、必要的記載事項ではありませんでしたが、当該事項の記載は、公告掲載日が本当に2週間以内に適法に開催されているのか念のために確認するためであったと思います。

しかし、いまや公告は株主総会の前後を問わず掲載することができるため、上記の意味合いは薄いものになりました。

それにもかかわらず、やはり株主総会開催日を記載している公告が多く散見されます。改正前商法の影響が強いですねぇ。わたしは、中小企業の資本金の額の減少公告の場合には株主総会開催日の記載はしていません。

IRの観点からは株主総会開催日の記載をすることを要求するのも大切だと思いますが、中小企業の公告を念頭に置いた場合には、不要な記載を省略する扱いがこれから進んでいくのではないかというのがわたしの展望です。

下記参考(弊ブログより)

資本金の額の減少公告に減少後の資本金の額の記載は必要か?~効力発生日等の記載も併せて(1)

資本金の額の減少公告に減少後の資本金の額の記載は必要か?~効力発生日等の記載も併せて(2)

では、また。

2009年7月24日 (金)

特例有限会社同士の吸収合併(一方は株式会社変更予定)において、官報公告では変更後の株式会社の商号を入れるべきか?

なんて長いタイトルになってしまったんだろうと反省。

まず、前提の確認をば。特例有限会社同士が特例有限会社を存続会社とする合併はできないことになっています(整備法37条)。(ちなみに、特例有限会社が吸収分割承継会社となることもできません)

上記前提のもと、有限会社同士が合併するということは、特例有限会社同士による新設会社が株式会社となる新設合併か、もしくは、一方の特例有限会社が株式会社に商号変更した後に、当該会社を存続会社とする吸収合併を検討することになります。

前者の新設合併は許認可の取り直しが必要とされる業種の関係や合併の登録免許税の関係もありますので、あまり現実味がありません。

ですので、特例有限会社の一方が株式会社に商号変更し、当該会社を存続会社とする場合を検討します。

特例有限会社同士が合併する際の官報公告では、特例有限会社自体に決算公告義務がありません(整備法28条)。ですので、決算内容については決算公告義務がないことを記載し、決算との同時公告をする必要さえありません。よって同時公告をする場合に比べて費用的に助かりますし、公告の申込から時間も同時公告の場合と比べて短いものになります。

この場合の公告ですが、『決算公告のおすすめ』に従うならば、「甲は乙の権利義務を承継して存続し乙は解散することになりました。」とする冒頭になります。

この公告をみれば、なにやら、整備法37条に反して、特例有限会社を存続会社とする合併がこれから行われている様相を与えます(今までこんな公告をしたことがないので現実にできるのかわかりません)。

この誤解ともいえる公告内容を避けるために、存続会社になる会社を事前に株式会社に商号変更させることも考えられます。しかし、株式会社に移行したとたんに、決算公告の観点では、施行規則199条1項7号の決算公告をしていない株式会社と同区分になりますので、同時公告をする必要がでてきます。費用がかかります。

ではどうするのか?

私が考えるに、存続会社となる特例有限会社の記載の上で、合併の効力発生までに株式会社に移行する旨を記載することで対応できるのではないかと考えています。具体的には上記の「甲」に付記する形で、「甲(商号変更後○○株式会社)~」とすべきでしょう。

どうでしょうか。本日は京都会で公告についての研修がありますねん。

では、また。

2009年7月21日 (火)

wセミナー事業譲渡

受験校のWセミナーの資格取得支援事業と出版事業をTACに譲渡することがニュースとなっております。私はちなみにどちらにもごやっかいになっておりません。

事業の譲り受け及び子会社設立のお知らせ~TAC株式会社

TACに事業譲渡した後は、当該事業の新会社(新早稲田経営出版)への一部譲渡、もしくは、新設分割(763条)による当該事業を新しく設立する会社が引き継ぐスキームになりそうです。

これらを法的側面から区別すると、①特定承継と②包括承継でわけることができます。

①の範疇は、事後設立(467条1項5号)と、事業の現物出資が該当します。

②に該当するのが新設分割です。

ご存知のとおり、会社法施行後は、事後設立の際に検査役の調査が不要となりました。このため、まず新会社を設立した後に、譲渡対象事業を譲渡することがスピーディーにできるようになりました。当初設立する会社の資本金も小さくてすむ(登録免許税が何百万とかからない)メリットを享受できます(事後設立は、資本取引ではないので資本金に影響を及ぼしません)。

一方で事業の現物出資による設立の場合には、事後設立の場合に比して資本金が大きくなりがちです(共通支配下の場合にどのようになるかは調査未定。もしかしたら資本金が少ないパターンもありえるかも)。

新設分割のスキームを採用した場合には、債権者から個別に承諾を得る必要がないメリットがあります(ザ・包括承継の効果)。

事後設立、新設分割の両スキームは、通常、新会社が特別支配会社に該当するはずですので、株主総会の決議が不要(迅速にスキームに着手できる※468条)になるメリットはあるでしょう。事業の現物出資は検査役の調査を要求される局面、すなわち、財産の価額が500万円以上になる場合には使い勝手が悪いのではないかと思われます。

(おまけ)資格取得支援事業と出版事業の譲渡はTACにとってみれば事業の一部譲受になるんですね。当該事業譲渡後の早稲田経営出版はどうなるのでしょうか。

では、また。

DNPの有価証券報告書

有価証券報告書 大日本印刷

2009年7月18日 (土)

組織再編における簡易手続まとめ

Saihen_2

2009年5月15日 (金)

合併の際に存続会社の定款変更議案は合併契約書に記載するべきか?(1)

(報告)ゴールデンウィークははるか昔のことでした。

会社の合併における存続会社では、合併契約と同時に定款変更をすることが実務上、多いと思われます。

旧商法適用時は、その定款変更議案については、合併契約書の必要的記載事項でしたが、会社法施行以降は、当該変更議案は、必要的記載事項から外れました。

したがって、存続会社の定款変更の記載がない合併契約書であっても、形式上は問題なく、存続会社の株主総会議事録は、合併承認議案を第1号議案とし、定款変更案を第2号議案として上程することが理屈では通ります。

しかし、第2号議案とする取扱いでは、存続会社の定款変更につき、消滅会社の株主にとっては知らないうちに可決され、変更されていることになります。消滅会社の株主は、合併対価として存続会社の株式の交付を受ける場合には、存続会社の定款内容に関しては、重大な関心ごとになってくるにもかかわらずです。

存続会社の定款がどのようなものであるか、また、どのような定款となるのかの判断は、消滅会社の株主にとり、存続会社の株主となるか、又は存続会社の株主から離脱するための株式買取請求権の行使の事前資料にもなるかと思います。

では、この消滅会社株主の上記調査の保護を図る手段があるのかどうかか問題となります。

続く。

合併の際に存続会社の定款変更議案は合併契約書に記載するべきか?(2)

消滅会社の株主の存続会社の定款変更調査のための取っ掛かりが、会社施行規則にある事前備置書類となろうかと思います(存続会社につき、施191条、消滅会社につき、同182条)。

特に、消滅会社に関する規定である施182条4項1号イにおいて、存続会社の定款があげられていることに留意する必要があります。

ここでは、「存続会社の定款の定め」と、規定されており、少なくとも、合併効力発生日における存続会社の定款の定めとはなっておりません。

合併効力発生までは、消滅会社の株主は、存続会社の株主ではないので、定款変更は、存続会社固有の問題として位置づけられ、消滅会社の株主にとっては関与するところではないといった論拠になっているためかもしれません。

しかし、存続会社の内容に重大な関心を抱く、消滅会社の株主の「便宜」のため、合併契約書に存続会社の定款変更案の記載をし、当該書類を782条に則り、備え置くことも考える必要があるのではないかと思ってしまいます。

もっとも、存続会社の定款変更を消滅会社の株主に周知させないことをもって合併が無効、もしくは、決議の方法が著しく不公正であるからといって決議取消しの訴えの対象になるとは考えにくいです。

中小企業の合併の実務では、いまだに定款変更案合併契約書に記載していることが多いのが実感です。この取扱いの根拠自体は、思うに旧商法の取扱いの延長であるでしょうが、今後もこの取扱いを踏襲することも、消滅会社の株主保護にとってある意味で大切なのではないかと思います。

(もう少し、消滅会社の株主保護のあり方を多方面から考察する必要がるとは思いますが)

では、また。

2009年5月 9日 (土)

785条に基づく反対株主の株式買取請求権

楽天の東京放送ホールディングスに対する反対株式の買い取り請求権についてです。

http://eir.eol.co.jp/EIR/View.aspx?cat=tdnet&sid=702044

以下、引用~

当該吸収分割にあたり、当社の反対株主である楽天株式会社ほか1名の株主より、会社法第785条第1項に基づく当社株式の買取請求がなされたことは、平成21年4月1日付けプレスリリース「株主からの株式買取請求に関するお知らせ」にて、既にお知らせしたところです。
この請求を受け、当社は、当該株主と株式の買取価格について協議を行って参りましたが、効力発生日から30日以内に協議が調わなかったため、本日、下記のとおり、東京地方裁判所へ株式買取価格決定の申立てを行いましたので、ここにお知らせ致します。

引用終わり

楽天が取得した当時の株式の価額と現在の株式の価額の差が大きいため、裁判所としてどのような価額決定をするのか気になるところです。カネボウの際の決定が参考にされるのか否か。

では、また。

2009年4月16日 (木)

合併の際の同時公告の記載内容

株式会社は、定時株主総会終了後に決算公告を会社が定めた公告方法によって公告しなければなりません(440条)

この公告を遅滞している会社が合併する際には、同時公告といって債権者への催告のための公告と同時に決算公告をすることができるようになりました(施行規則188条)。(一種のセーフティーネット)

(資本金の額の減少の場合の上記の規定が、会社計算規則第180条で定められているが同趣旨。但し、なぜ一方は会社施行規則で、その他は会社計算規則なのかは不明)

同時公告を採用する場合には、その決算の記載内容は、計算規則で定められています(計算規則167条以下)。

具体的な相違点としては、まず、資産の部の「固定資産」にかかる項目が異なります。非公開会社であれば、固定資産の項目わけで問題はありません。

一方で、公開会社であれば、その固定資産の項目を①有形固定資産、②無形固定資産、③投資その他の資産に分けて記載することが求められます(計算規則167条3項)。

また、負債の部についても、公開会社であれば、重要な適宜の項目にわけて記載する必要があります(計算規則168条)。この点、中小の公開会社であれば、流動負債と、固定負債の記載分け程度で問題はないと思います。

公告会社は、非公開会社に比べて記載区分のボリュームがアップしています。ですので、この違いを忘れて公告をした場合には登記上どのような処理になるのかは怖いところです。

つまり、株式の譲渡制限の規定は登記記録上明らかでありますので、公開会社であるか否かは一見して明白です。そして、公開会社であるにも関わらず、非公開会社と同内容の記載区分の公告をした場合には、合併効力発生日までに適正な債権者保護手続が行われておらず、合併が無効になる恐れすらあると思います。(効力発生日の変更も会社法ではできますが(780条)、効力発生日の変更は効力が生ずるまでにしなければならず、効力発生日後の変更はできないと解されているため)

では、また。

2009年4月12日 (日)

持株会社の創設(2)~株式移動方式①

株式移動方式の代表格は、株式交換・株式移転です。

双方とも新たな資金が不要である点が大きな特徴です。特別決議を成立するに足りる議決権を保有していれば、持株会社を成立させることが可能となります。資金的な面を考えなくてもよくなります(ただし、自社株式を対価とした場合には自社の株主構成が変わることに留意が必要)。

また、債権者保護手続が不要であるメリットがあげられるかと思います。

債務超過に陥っている会社が組織再編を行う際に、債権者の同意を取り付けることがなかなか難しい(特に、債務超過に陥っている会社と関係する会社が潤沢な資金を有しているような場合には、当該会社の債権者にとって会社資本を毀損する恐れがあるため、組織再編に躊躇することがあろうかと思います)場合には、手続き的にはスムーズにいくかと思われます。ただし、そのような場合に株式交換、株式移転をしてもよいかどうかの経営判断上の問題は残ります。

また、株主総会特別決議によることで株式交換等が可能となりますので、一部の反対株主がいたとしても強制的に持株会社化に移行することができます。

続く

2009年4月 2日 (木)

資本金計上証明書(資料編)

会社計算規則等の変更により、資本金計上証明書の記載要領が変わりました(但し、会社計算規則附則で経過措置が設けられている部分があり、その部分はなお従前の例によることになりますので、注意が必要です。

http://www.moj.go.jp/ONLINE/COMMERCE/11-1.html

商業登記にお強い高名な先生方がまずは、資本金計上証明書の雛形をフォローされるのが今までの流れでしたが、今回は、さっそく法務省のほうで雛形がアップされています。

助かりますなぁ~

では、また。

2009年3月26日 (木)

持株会社の創設(1)

中小企業であっても、グループ会社として、経営をなされている会社が多くあります。

そこで、このグループ会社の統制の方法として、持株会社制を採用することが考えられます。

持株会社を作るための方策として、大きく2つのパターンがあります。

一つ目は、新しく持株会社を作り、その傘下に従来からある会社が子会社として連なるパターンです。(以下、「株式移動方式」とよぶことにします。)

次のパターンは、もともと存在している会社を持株会社として、その傘下に新しく新設する会社を子会社として連ねるパターンです。(以下、「抜け殻方式」とよぶことにします。)

株式移動方式の代表的なスキームとしては、株式交換・株式移転・株式の譲渡・株式の現物出資があります。

抜け殻方式としては、会社新設分割事業の現物出資による子会社設立が挙げられます。

どちらのパターンを採用するかは、さまざまな観点からの立場がありますので当然一概にどちらがいいということはできません。

ですので、司法書士の立場としては、さまざまな観点のうちの登記手続き上の観点からその特色をうまくクライアントに伝えることがまずは大切なことではなかろうかと思っております。

続く

2009年3月 4日 (水)

M&Aの書籍

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自分のためのメモとして。

2009年1月24日 (土)

組織再編における債権者保護手続の計算書類の開示(2)

施行規則第188条第7号以外の規定の確認。

第4号は、特例有限会社についての合併等の規定です。旧商法の際の有限会社の合併の場合の公告では、最終の貸借対照表について言及する必要がありませんでした。有限会社については、決算公告義務が課せられていなかったためです。

会社法施行後は、決算公告義務は引き続いて負いません(整備法28条)。しかし、公告としては、「決算公告義務がないこと」をわざわざ示さなければいけなくなりました。

個人的にはいつか間違えて決算公告も載せてしまいそうな…しかし、原稿チェックの際に官報販売所の方からだめだしを出されて世にはでないとは思いますが。

次に第5号は、設立後まだ第1期の決算期をむかえていないような会社を想定した規定です。

第3号、についてはまた追って。

では、また。

(計算書類に関する事項)
第百八十八条  法第七百八十九条第二項第三号に規定する法務省令で定めるものは、同項の規定による公告の日又は同項の規定による催告の日のいずれか早い日における次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。
 最終事業年度に係る貸借対照表又はその要旨につき公告対象会社(法第七百八十九条第二項第三号の株式会社をいう。以下この条において同じ。)が法第四百四十条第一項又は第二項の規定により公告をしている場合 次に掲げるもの
 官報で公告をしているときは、当該官報の日付及び当該公告が掲載されている頁
 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙で公告をしているときは、当該日刊新聞紙の名称、日付及び当該公告が掲載されている頁
 電子公告により公告をしているときは、法第九百十一条第三項第二十九号イに掲げる事項
 最終事業年度に係る貸借対照表につき公告対象会社が法第四百四十条第三項に規定する措置を執っている場合 法第九百十一条第三項第二十七号に掲げる事項
 公告対象会社が法第四百四十条第四項に規定する株式会社である場合において、当該株式会社が証券取引法第二十四条第一項の規定により最終事業年度に係る有価証券報告書を提出しているとき その旨
 公告対象会社が会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第二十八条の規定により法第四百四十条の規定が適用されないものである場合 その旨
 公告対象会社につき最終事業年度がない場合 その旨
 公告対象会社が清算株式会社である場合 その旨
 前各号に掲げる場合以外の場合 会社計算規則第六編第二章の規定による最終事業年度に係る貸借対照表の要旨の内容

2009年1月23日 (金)

組織再編における債権者保護手続の計算書類の開示(1)~施行規則188条第7号

組織再編の際には原則として、債権者に対して債権者保護手続をする必要があります。この手続は主に、公告と催告(又は公告のみ)を行うことになっております(789条、799条。

その公告、催告の内容のひとつとして、消滅会社側では、「消滅株式会社等及び存続会社等(株式会社に限る。)の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの」と規定しています(789条第2項第3号)。

存続会社側では、「存続会社等及び消滅会社等(株式会社に限る。)の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの」となっています(799条第2項第3号)

これらの規定を受け、計算書類に関する事項は、施行規則188条(消滅会社において)、199条(存続会社において)で詳細に規定されています。

(計算書類に関する事項)
第百八十八条  法第七百八十九条第二項第三号に規定する法務省令で定めるものは、同項の規定による公告の日又は同項の規定による催告の日のいずれか早い日における次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。
一  最終事業年度に係る貸借対照表又はその要旨につき公告対象会社(法第七百八十九条第二項第三号の株式会社をいう。以下この条において同じ。)が法第四百四十条第一項又は第二項の規定により公告をしている場合 次に掲げるもの
イ 官報で公告をしているときは、当該官報の日付及び当該公告が掲載されている頁
ロ 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙で公告をしているときは、当該日刊新聞紙の名称、日付及び当該公告が掲載されている頁
ハ 電子公告により公告をしているときは、法第九百十一条第三項第二十九号イに掲げる事項
二  最終事業年度に係る貸借対照表につき公告対象会社が法第四百四十条第三項に規定する措置を執っている場合 法第九百十一条第三項第二十七号に掲げる事項
三  公告対象会社が法第四百四十条第四項に規定する株式会社である場合において、当該株式会社が証券取引法第二十四条第一項の規定により最終事業年度に係る有価証券報告書を提出しているとき その旨
四  公告対象会社が会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第二十八条の規定により法第四百四十条の規定が適用されないものである場合 その旨
五  公告対象会社につき最終事業年度がない場合 その旨
六  公告対象会社が清算株式会社である場合 その旨
七  前各号に掲げる場合以外の場合 会社計算規則第六編第二章の規定による最終事業年度に係る貸借対照表の要旨の内容
末席に規定されている第7号ですが、この規定を用いる中小企業が多いのではないかと思います。
本来会社は定時総会の終結後遅滞なく貸借対照表(大会社にあっては、損益計算書を含む)を公告しなければいけません(440条)。そして、この公告していることを前提にすれば、組織再編時の公告における計算書類についてはその公告媒体の日付と頁を記載することで足ります(188条では第1号)。
しかし、中小企業の多くは上記の決算公告を懈怠しているのが多い実情です(この懈怠に関しては、976条に罰則規定があり、100万円以下の過料に処せられることになっています。(決算公告を怠って過料に処せられた会社があるのでしたら誰か教えてください)
このように決算公告を怠っている会社の救済処置として、188条第7号がもうけられているといっても過言ではないと思います。第7号は、なんら決算公告をしていない会社であっても最終の事業年度に係る貸借対照表の要旨をそのまま官報に掲載することで足りると定めています。
旧商法の際には、一度決算公告をして再度合併公告を載せるという2段階の手続を踏んでおりました。これが一度の公告でできるようになり、合併の効力発生まで日程調整のうえでは、時間短縮になったのではないかと思います。
では、また。

2009年1月22日 (木)

組織再編と株式買取請求権手続

組織再編に反対する株主の保護としては、株式の買取請求権をもってすることになっています(785条、797条)。登記に直接関係はしないことが多いと思いますが、合併等の法定手続を踏む上で株式の買取請求についての理解も当然に必要になってきます。

合併の際には、消滅会社は、効力発生日の20日前までに株主に対して、「吸収合併をする旨並びに存続会社の商号及び住所」を通知しなければいけない(785条3項)。

但し、公開会社の場合には、株主の変動が激しいため通知することは不可能です。もちろん、124条の基準日を定めてその日の株主に対して通知をすることは物理的には可能ですが、現実的ではないと思います。したがって、通知の変わりに公告をもって代えることが規定されています(785条4項第1号)。

さらに、もうひとつの例外規定が785条第4項第2号において、株主総会の決議によって合併契約の承認を受けている場合です。株主総会の招集通知に合併の詳細について規定されている(計算規則86条)ことから再度の通知は不要という理解かと思われます。

このことから、中小企業の場合は、株主総会招集通知発送後、効力発生日までに20日以上あいている場合には、反対株式の買取請求権の通知事項である「吸収合併をする旨並びに存続会社の商号及び住所」を招集通知で代替できることになるります。

株式買取請求のほかに、「消滅会社」では、新株予約権買取請求についての規定もあります(787条)。存続会社の新株予約権の買取規定はないんですね。この場合には株式買取請求権の例外規定のような公開会社である場合や、株主総会決議の承認を得ている必要はないですので、いつでも通知を公告に変えることができます(787条4項と785条4項とを比較)。

株式買取請求権も新株予約権買取請求権もどちらも「公正な価格」での買取り請求です。上場企業でも問題となる論点ですが、中小企業の場合には市場価格が形成されていないため、さらに判定が難しくなるでしょう。

では、また。

2009年1月20日 (火)

公取委の合併審査は大型に限定へ

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090120AT3S1901B19012009.html

企業再編のスピード化に資するものです。

メディセオとアルフレッサの件があっただけになかなかホットなテーマだと思います。

では、また。

2009年1月19日 (月)

合併の際の公正取引委員会への届出について

医薬品会社のメディセオ・パルタックホールディングスとのアルフレッサホールディングスが公正取引委員会の届出が受けられないおそれという理由だと思うが合併の白紙撤回の件が掲載されています。どこぞの外国会社の日本法人かと思っておったのですが、日本の会社みたいですね…

ややこしや~、ややこしや~

http://bizplus.nikkei.co.jp/manda/news.cfm?i=2009010810910ma

総資産又は売上が一般的に大きい(どこから大きくてこの届出の対象になるかどうかは下記条文参照)場合には、事前に公正取引委員会への届出が必要となります。

合併をしてはいけない場合として、第1項に「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」場合が規定されています。このような形式基準ではない実質基準が規定されていますので、実際の大きな会社同士又は、上場企業を親会社にもつ小会社同士の合併等の場合には慎重な判断が必要です。我々司法書士もこの点について注意です)。

ただ、実務的には第2項の総資産基準についてのほうがより身近(?)かもしれません。形式的に100億円を超え、かつ、他の会社が10億円を超えるときには届出が必要になります。

実質的な判断基準については浅識なので、私は、少々下記よりお勉強が必要です。

Wikipedia:私的独占の禁止及び公正な取引の確保に関する法律

私的独占の禁止及び公正な取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)(独占禁止法)

第十五条  会社は、次の各号の一に該当する場合には、合併をしてはならない。
 当該合併によつて一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合
 当該合併が不公正な取引方法によるものである場合
○2  国内の会社は、合併をしようとする場合において、当該合併をしようとする会社(以下この条において「合併会社」という。)のうち、いずれか一の会社に係る総資産合計額が百億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超え、かつ、他のいずれか一の会社に係る総資産合計額が十億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超えるときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、あらかじめ当該合併に関する計画を公正取引委員会に届け出なければならない。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。
 合併会社のうち、いずれか一の会社が他のすべての会社のそれぞれの総株主の議決権の過半数を有している場合
 合併会社のそれぞれの総株主の議決権の過半数を有する会社が同一の会社である場合
○3  前項の規定は、外国会社が合併をしようとする場合に準用する。この場合において、同項中「総資産合計額」とあるのは、「国内売上高」と読み替えるものとする。
○4  第二項(前項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による届出を行つた会社は、届出受理の日から三十日を経過するまでは、合併をしてはならない。ただし、公正取引委員会は、その必要があると認める場合には、当該期間を短縮することができる。
○5  公正取引委員会は、第十七条の二第一項の規定により当該合併に関し必要な措置を命じようとする場合には、前項本文に規定する三十日の期間又は同項ただし書の規定により短縮された期間(公正取引委員会が合併会社のうち少なくとも一の会社に対してそれぞれの期間内に公正取引委員会規則で定めるところにより必要な報告、情報又は資料の提出(以下この項において「報告等」という。)を求めた場合においては、前項の届出受理の日から百二十日を経過した日とすべての報告等を受理した日から九十日を経過した日とのいずれか遅い日までの期間)内に、合併会社に対し、第四十九条第五項の規定による通知をしなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
 第二項(第三項において読み替えて準用する場合を含む。次号において同じ。)の規定により届け出た合併に関する計画のうち、第一項の規定に照らして重要な事項が当該計画において行われることとされている期限までに行われなかつた場合
 第二項の規定により届け出た合併に関する計画のうち、重要な事項につき虚偽の記載があつた場合
○7  前項第一号の規定に該当する場合において、公正取引委員会は、第十七条の二第一項の規定により当該合併に関し必要な措置を命じようとするときは、同号の期限から起算して一年以内に前項本文の通知をしなければならない。

第十五条の二  会社は、次の各号のいずれかに該当する場合には、共同新設分割(会社が他の会社と共同してする新設分割をいう。以下同じ。)をし、又は吸収分割をしてはならない。
 当該共同新設分割又は当該吸収分割によつて一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合
 当該共同新設分割又は当該吸収分割が不公正な取引方法によるものである場合
○2  国内の会社は、共同新設分割をしようとする場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、あらかじめ当該共同新設分割に関する計画を公正取引委員会に届け出なければならない。
 当該共同新設分割をしようとする会社のうち、いずれか一の会社(当該共同新設分割で設立する会社にその事業の全部を承継させようとするもの(以下この項において「全部承継会社」という。)に限る。)に係る総資産合計額が百億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超え、かつ、他のいずれか一の会社(全部承継会社に限る。)に係る総資産合計額が十億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超えるとき。
 当該共同新設分割をしようとする会社のうち、いずれか一の会社(全部承継会社に限る。)に係る総資産合計額が百億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超え、かつ、他のいずれか一の会社(当該共同新設分割で設立する会社にその事業の重要部分を承継させようとするもの(以下この項において「重要部分承継会社」という。)に限る。)の当該承継の対象部分に係る最終の貸借対照表と共に作成した損益計算書による売上高が十億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超えるとき。
 当該共同新設分割をしようとする会社のうち、いずれか一の会社(全部承継会社に限る。)に係る総資産合計額が十億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超え、かつ、他のいずれか一の会社(重要部分承継会社に限る。)の当該承継の対象部分に係る最終の貸借対照表と共に作成した損益計算書による売上高が百億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超えるとき(前号に該当するときを除く。)。
 当該共同新設分割をしようとする会社のうち、いずれか一の会社(重要部分承継会社に限る。)の当該承継の対象部分に係る最終の貸借対照表と共に作成した損益計算書による売上高が百億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超え、かつ、他のいずれか一の会社(重要部分承継会社に限る。)の当該承継の対象部分に係る最終の貸借対照表と共に作成した損益計算書による売上高が十億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超えるとき。
○3  国内の会社は、吸収分割をしようとする場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、あらかじめ当該吸収分割に関する計画を公正取引委員会に届け出なければならない。
 当該吸収分割をしようとする会社のうち、分割をしようとするいずれか一の会社(当該吸収分割でその事業の全部を承継させようとするもの(次号において「全部承継会社」という。)に限る。)に係る総資産合計額が百億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超え、かつ、分割によつて事業を承継しようとする会社に係る総資産合計額が十億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超えるとき。
 当該吸収分割をしようとする会社のうち、分割をしようとするいずれか一の会社(全部承継会社に限る。)に係る総資産合計額が十億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超え、かつ、分割によつて事業を承継しようとする会社に係る総資産合計額が百億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超えるとき(前号に該当するときを除く。)。
 当該吸収分割をしようとする会社のうち、分割をしようとするいずれか一の会社(当該吸収分割でその事業の重要部分を承継させようとするもの(次号において「重要部分承継会社」という。)に限る。)の当該分割の対象部分に係る最終の貸借対照表と共に作成した損益計算書による売上高が百億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超え、かつ、分割によつて事業を承継しようとする会社に係る総資産合計額が十億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超えるとき。
 当該吸収分割をしようとする会社のうち、分割をしようとするいずれか一の会社(重要部分承継会社に限る。)の当該分割の対象部分に係る最終の貸借対照表と共に作成した損益計算書による売上高が十億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超え、かつ、分割によつて事業を承継しようとする会社に係る総資産合計額が百億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超えるとき(前号に該当するときを除く。)。
○4  前二項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合には、適用しない。
 共同新設分割をしようとし、又は吸収分割をしようとする会社のうち、いずれか一の会社が他のすべての会社のそれぞれの総株主の議決権の過半数を有している場合
 共同新設分割をしようとし、又は吸収分割をしようとする会社のそれぞれの総株主の議決権の過半数を有する会社が同一の会社である場合
○5  前三項の規定は、外国会社が共同新設分割をしようとし、又は吸収分割をしようとする場合に準用する。この場合において、第二項及び第三項中「総資産合計額」及び「最終の貸借対照表と共に作成した損益計算書による売上高」とあるのは、「国内売上高」と読み替えるものとする。
○6  前条第四項から第六項までの規定は、第二項及び第三項(前項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による届出に係る共同新設分割及び吸収分割の制限並びに公正取引委員会がする第十七条の二第一項の規定による命令について準用する。この場合において、前条第四項及び第六項中「合併」とあるのは「共同新設分割又は吸収分割」と、同条第五項中「合併に」とあるのは「共同新設分割又は吸収分割に」と、「合併会社」とあるのは「共同新設分割をしようとし、又は吸収分割をしようとする会社」と読み替えるものとする。
では、また。

2008年12月12日 (金)

企業価値研究会の時系列資料編

平成16年9月に経済産業省に企業価値研究会が設置されて以来、敵対的買収にかかるM&A等についての意見が積み重なってきております。

レポートをまとめる都合上、経済産業省によって掲載されている資料を挙げてみました。

論点公開~公正な企業社会のルール形成に向けた提案(平成17.4.22)

企業価値報告書~公正な企業社会のルールに形成に向けた提案(平成17.5.27)

企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛に関する指針(平成17.5.27)

公正な買収防衛策のあり方に関する論点公開~買収防衛策に関する開示及び証券取引所における取り扱いかたについて~(平成17.11.10)

企業価値基準を実現するための買収ルールのあり方に関する論点公開(平成17.12.15)

企業価値報告書2006(平成18.3.31)

近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策のあり方(平成20.6.30)

2008年11月 3日 (月)

買収防衛策の在り方(資料編)~企業価値研究会より

パナソニックと三洋の友好的な買収話が紙面をにぎわしている週末にいまいちど、敵対的買収について考えてみようと思い、以下の資料に目を通したところです。

http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g80630a01j.pdf

経済産業省の研究会である企業価値研究会の報告文章です。