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会社法機関

2009年10月25日 (日)

解散を決議した株主総会の議事録作成者は代表清算人?

最近お勧めの芸人がなかなか出てこないのは、私のお笑いへの愛情が低くなったからでしょうか?

さて、株主総会で株式会社が解散することを決議した場合には、その旨を株主総会議事録に記載する必要があります(318条、施規72条)

そして、当該議事録には、「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」を記載することが要求されています(3項5号)

株主総会のよくみる雛形には、作成者としてしばしば代表取締役が挙げられています。

とあるクライアントさんからの質問だったのですが、もうこの議事録作成段階では従前の(代表)取締役は退任しており、新たに代表清算人が就任することになります。とするならば、この議事録作成者としては、代表清算人が当たるのが適切なのではないかというものでした。

う~ん、でも議事録作成は、総会の招集から始まる一連の手続きの締めくくりのようなものだからやっぱり取締役でよいのではないかと内心思いながらも保留の態度。

そこで、施行規則において、清算の第8章に準用規定で取締役を清算人と読み替える規定があるのかなと思って調べているのですがなかなかみつかりません。

(清算人会議事録については施行規則143条で規定されていますが)

規定がないならば、あくまでも議事録の作成者は施行規則72条3項5号にのっとり、「取締役」があたらなければならないのでしょうか。すべての取締役が退任して、新しく清算人が選任された場合にはどうするのでしょうか。

議事録への記載の前に、実体としては誰が株主総会議事録の作成義務があるのか?

う~ん、どうなんでしょうか?(はなはだ勉強不足で必要な条文を見過ごしている感は否めませんが…)

自分のための備忘録です(スンマセン)。

では、また。

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2009年10月15日 (木)

株主総会の議決「票数まで公表」の方針へ~議事録作成の影響は

上場会社に対して、議案の賛否のみならず株主総会の議決権の票数まで公表することを要請する模様です。

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/soumu/index.cfm?i=2009101310976b3

東証がらみのソフトローでの対応であって、金商法の改正ではないみたいです。

EDINETを通した適時開示での公表ということになるのでしょうが、この取扱いが株主総会議事録に対してどの程度影響を及ぼすのか今の段階では定かではありません。まさか、こと細かく議事録に賛成○○票、反対○○票とまで記載しなければならないとは思いませんが。さらに、議事録に記載することを要求するのであれば、会社施行規則の改正も絡んでくるので現実的ではありません。もっとも、自主的に記載することがよいかどうかはさらなる判断が必要となることはいうまでもありません。

私個人としましては、議事録作成の面では影響はさほどなく、いままでのやり方を踏襲することで足りるのではないかと楽観的に考えております。

では、また(今週はなんだか長く感じる…)。

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2009年10月13日 (火)

少数株主による株主総会招集に応じない場合もあるみたいです

連休は比叡山にいってきました(報告)

株式会社エル・シー・エーホールディングスが少数株主より、株主総会招集請求があった場合に、その請求後遅滞なく総会招集の手続をしない旨の措置を取ったという記事です。

http://www.lca-j.co.jp/07ir/pdf/release/294.pdf

(株主による招集の請求)
第297条  総株主の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。)及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。
2  公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
3  第一項の株主総会の目的である事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。
4  次に掲げる場合には、第一項の規定による請求をした株主は、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができる。
一  第一項の規定による請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合
二  第一項の規定による請求があった日から八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内の日を株主総会の日とする株主総会の招集の通知が発せられない場合

見識不足だったのですが(これに限ったことではありませんが)、会社法297条の総会招集手続に会社側が応じない場合には取締役の忠実義務違反が発生すると理解しておりました。少なくとも、株主が総会の「目的である事項」と「招集理由」を示しさえすれば、形式的に上記の少数株主の総会招集の要件に該当するので、取締役は必ず株主総会を開催しなければならないと考えていたわけです。

会社が総会の開催を拒否した以上、今後のスケジュールとしては、株主サイドとしては裁判所の許可を得て、自ら総会を招集することになるでしょう(4項)。ただし、総会開催に関する費用は株主持ちですので、開催メリットとコストを天秤にかけると少数株主からの開催をするかどうかは微妙なところです。

問題は、会社の定款上、取締役の員数規定が「何人以下」になっているのかわかりませんが、会社側の提案として、取締役の選任議案を逆に提案することができるのかどうか検討することが必要になろうかと思います。

条文の上では、会社側の総会招集通知に対して、株主には株主提案権が認められています。しかし、逆に株主の総会招集通知に対して、会社側からの提案が認められるのか会社法上定かではないためです。

では、また。

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2009年10月 9日 (金)

T社の臨時株主総会はすべての議案が通ってしまった(速報)…

監査役の一挙手一投足に注目が集まっていたトライアイズの件ですが、臨時株主総会決議通知が会社のHPに掲載されています。

http://www.triis.co.jp/pdf/2009/2009_1009.pdf

上記の件を通じて、感じた感想文を少々(上記の会社とは直接関係ありません)。

監査役は、取締役の職務の執行を監査する立場にいます(381条)。そして、当該権限の具体的諸手続として、監査役には取締役に対する行為の差止めが認められています(385条)

(監査役による取締役の行為の差止め)
第385条  監査役は、取締役が監査役設置会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該監査役設置会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
2  前項の場合において、裁判所が仮処分をもって同項の取締役に対し、その行為をやめることを命ずるときは、担保を立てさせないものとする。

監査役の善管注意義務のもとでの上記の差止めについては、誤解をおそれずにいえば、よかれと思って差止めをしたにもかかわらず、取締役はもとより、株主においても評価されない行為と捉えられる恐れがあります。また乱暴な例えかもしれませんが、株主にしてみれば、法的にリスクのある行為を取締役が選択した場合(経営判断の問題とは次元を異にする)、その投資に対するリターンが大きくなる可能性があればそれにかけてみようと思われる方がおられるかもしれません(ばれなければなにをやってもよいいう反コンプライアンス的発想)。一方で、監査役の立場からすれば法令違反のおそれがある場合においては、職務上、その行為を差止めしなければなりません(同条)。これをよしとしない株主もでてくるということです。

会社法の監査役の行為の差止め自体は一見すれば、職務執行の一具体例として、歓迎されるべきものかもしれません。しかし、常に本音レベルで歓迎されるものにはならないのも事実としてあるのではないかと感じるとことであります。

(もっとも、このような会社が資本主義の中で淘汰されずに残っていけるとは到底考えられませんが)

将来、監査役に就任要請があった場合に、法令違反のおそれのある行為を差止めすることが取締役、株主の利益に一方では適わない局面でも、職務を全うするために差止めをすることが大切、かつ、必要なのだと強く感じたところです(想像の域をでません)。

では、また。

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2009年10月 7日 (水)

監査役の魂の叫び~ガバナンス以前に人間性の問題

株式会社トライアイズの監査役のHPが注目を浴びています。

http://kansayaku-furukawa.jp/

上場企業とは思えない…

監査役の毅然とした勇気ある対応は、10月9日金曜日の株主総会で報われることを信じてやみません。

では、また。

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2009年8月13日 (木)

会計参与の行動指針についての改正(資料編)

平成21年8月10日、日本公認会計士協会・日本税理士会連合会より、標記の件についての改正が公表されました。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/post_1179.html

会計参与の制度はなかなかなじみがありませんが…税制優遇とか表だったメリットがないとなかなか中小企業は採用しないでしょうな。

では、また。

2009年8月 9日 (日)

委員会設置会社リスト(資料編)

日本取締役協会より、委員会設置会社移行企業リストが公表されています。

http://www.jacd.jp/report/090803_01report.pdf

まだまだ少ない委員会設置会社です。

いささか古いですが、

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では、また。

2009年7月30日 (木)

監査役による費用請求(388条)

ごたごた続きのトライアイズですが、新たに仮処分命令(仮処分②とする)の申立てを受けたことをリリースにしています。

仮処分命令の申立てに関するお知らせ①

株主総会決議取消訴訟に対する対応指針に関するお知らせ

仮処分命令の申立てに関するお知らせ②

監査役の仮処分命令の申立て(仮処分①とする)及び株主総会決議取消の訴え(831条)に端を発したものです。

仮処分①にかかる弁護士費用が会社リリースによりますと、高名な鳥飼先生に依頼しているため、1514万円超かかっており、当該債務のうち既に支払った着手金分を会社法第388条第3号に基づいて監査費用として会社に請求したが支払われないため、仮処分②が申立てられた模様です。

(費用等の請求)
第388条  監査役がその職務の執行について監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)に対して次に掲げる請求をしたときは、当該監査役設置会社は、当該請求に係る費用又は債務が当該監査役の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、これを拒むことができない。
一  費用の前払の請求
二  支出した費用及び支出の日以後におけるその利息の償還の請求
三  負担した債務の債権者に対する弁済(当該債務が弁済期にない場合にあっては、相当の担保の提供)の請求

アンダーラインでもあるように立証責任は、会社側にあり、いわゆる要件事実の観点からは、立証責任の転換が図られています。

そこで、会社側としては職務の執行には当たらないことを今後立証し、監査役からの費用請求を認めない旨の主張をすることになろうかと思います。

では、監査役による上記訴訟の提起等が監査役の職務の執行に当たる行為なのかどうかが問題となります。

江頭憲治郎『株式会社法』によれば、監査費用には一切の費用が含まれるとしています(弁護士費用についても)。

もっとも、上記の監査役の訴訟提起が形式的には監査役の職務執行であったとしても権限の濫用の場合のように明らかに不当な権利行使である場合には、信義則上、監査費用の請求はできないとの結論が導かれることもありえるのではないでしょうか。

まぁ、実際に監査役と会社の間になにがあったのか会社リリースだけでは当然判断できませんので。

では、また。

2009年7月28日 (火)

取締役会招集とその緊急性とその有効性について(2)

では、そもそも会社法において、取締役会の招集通知の期間が原則として設けられている趣旨はなんなのでしょうか。

これは、ずばり取締役に取締役会出席のための準備期間を確保するためといわれています。

この理の射程としては、準備期間を確保できる場合には、緊急の場合には、法令・定款で定められた期間を下回ったとしても問題はないという結論が導かれそうです。ここで問題はないということは違法ではないと同義ではありません。そもそも定款違反の招集手続ですので。あくまでも違法性が軽微だから、無効にはしなくてもよいという意味(イメージ)です。(判例法理でも、定款違反をすべて一律に無効として処理しているわけではないですので)

取締役会は、今後、テレビ会議等のシステムを多くの会社で導入すると、取締役会出席地への距離の概念がなくなります。すると、西日本担当取締役が本社である TOKYOまで行く必要がなくなったりしますと、より取締役会の出席のための準備期間を確保するための時間は短くなってくるのではないかと考えております。

招集通知期間は定款に違反するが、準備期間が確保でき、円滑な業務執行のためならば当該招集通知を有効とするということなのでしょう。

この緊急性の判断者は当然、定款で定まっている招集権者、すわなち、大多数の会社にあっては社長になるのではないでしょうか。

ただ、実務上、緊急性の判断は難しいでしょうから(取締役会規程等で具体的な緊急の場合をリストアップするほど意味は乏しいでしょうし)、取締役会招集通知の省略の同意書をいただく(368条第2項)段取りをとるものだと思います(後で無効とかいわれたらいやですので)。

では、また。

2009年7月27日 (月)

取締役会招集とその緊急性とその有効性について(1)

会社法第368条において、「取締役会の招集通知は、取締役会の日の1週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役及び監査役)に対してその通知を発しなければならない」と定められています。

当該規定を受け、1週間では業務執行に臨機応変に対応できない、もっと短縮すべきだという役員さんの意見を受け、多くの会社は定款によって、招集通知を3日前に通知すればよいというように短縮規定を設けておられると思います。わたしが関与する会社のほぼ100パーセントが1週間より期間を短縮していると思われます(中小企業の場合には、特段そのような意図はないかもしれませんが…)。なぜ3日前かは慣行ではないかと思われます。

さらに、この規定を受け、定款上に、「緊急のときは招集通知はこれを短縮することができる」旨の規定をみることがあります。常々、この規定って定款の範疇において有効なの?緊急の判断基準は?はたまた、この判断者は誰?など悩んでおります。

一方で、368条第2項では、「取締役会は取締役の全員の同意があるときには、招集の手続を経ることなく開催することができる」旨が規定されています。いわゆる招集手続の省略です。

当該規定は、取締役会出席者の全員が同意をしたときには、「招集手続の省略」が認められる規定であって、上記の緊急の場合に招集通知を「短縮すべき場合」とは明らかに用いられる場面が異なります。なぜなら、問題としているのは招集手続の「短縮」であるので、あくまでも招集手続を履行しなければならないためです。(招集手続省略は「0」、招集手続の短縮は、「ニアリー0、ノットイコール0」です)。

ですので、この「緊急のときは招集通知はこれを短縮することができる」想定場面とは、前記の法定又は定款で定められた招集通知の期間を下回る期間の通知であって、かつ、取締役の招集手続の省略の同意が得られない場合ではないかと思います(例:あと1時間後に取締役会を開く旨の招集通知が発せられ、とある取締役のかたは招集手続省略の同意をせず、拒否している場合)。(ちなみに取締役会の招集通知は書面に限らず、メール、電話でもオッケーです。テレパシーは?)

では、この緊急性の規定については有効なのか?

次回につづく

2009年7月24日 (金)

監査役会における決議と協議の違い

自分の中でオードリーブームが終わりそうです。次は柳原加奈子が自分の中のマイブームになりそうです(報告)

さて、監査役会を設置しなければならない会社の場合には、監査役会規則(規定)を作成することになります。定款で監査役会についてのことを逐一記載すればこと足りますが、規定における監査役についての軽微な定款変更であっても株主総会の開催が必要となるため、現実的ではありません。また、詳細を定款に記載することも現実的ではありません。

まず、この監査役会規則の作成のスタートとしては、日本監査役協会の監査役会規定の雛形を参照とすることがあります。

http://www.kansa.or.jp/siryou/kisoku_hinagata.html

取締役会とパラレルに考えてよい部分もありがすが、監査役会と取締役会の役割や選任根拠の違いからすべてが一緒というわけではありません。

ここでは、用語の問題について触れたいと思います。

会社法第387条第2項において、「監査役が二人以上ある場合において、各監査役の報酬等について定款に定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、前項の報酬等の範囲内において、監査役の協議によって定める。」と規定されています。

はい、「協議」という言葉がでてきました。取締役会では、「決議」という文言が使用されています(369条)。(監査役会の決議という用語もあります(393条))。

この「協議」と「決議」はどのように違うのでしょうか。一般的に協議は、「ただ、相談すればよいというだけでなく、意見の一致が必要とされています」(『法令用語の常識』より引用)。

この意味から協議は、決議のように過半数の同意があれば有効ということではなさそうです。したがって、「協議」を言い換えるならば、「監査役の全員の合意をもって行うこと」とすることができるかと思います。

「協議」は、393条の「決議」とは明確に区別されることが要求されますので、注意が必要です、はい。

では、監査役のうちのひとりが監査役会を欠席された場合、全員の合意が物理的に得られないため、協議ができないのではないかという問題が生じます。この点については、確かにその場で合意が得られず、有効な協議は不可であろうと思います。したがって、この対策としては、あらかじめ出席されない監査役のかたに協議の内容に同意する旨の書面をいただいておくことが考えれるのではないでしょうか。決議を要求されていないので、事前合意も有効であると、考えます。

では、また。

2009年7月 7日 (火)

取締役の任期満了の際に「定款」の定めにより満了した旨の記載のある議事録と任期規定について

いつもタイトルが長くなってすみません。

さて、取締役の任期計算の基本原則は、会社法332条において、「確定任期型」からいわゆる「総会終結型」に変更されました。旧商法時代は、条文上では、2年の確定任期が基本原則でしたが、使い勝手が悪いこともあり、2年の確定任期を採用する会社は実務上皆無でして、定款規定を用いて総会終結型を選択していました。

この場合の登記申請では、定款において、商法の条文の例外が定められていますので、その例外規定があることを証明するため、本来であれば、役員変更登記に定款の添付を要求するのが建前であろうかと思います。しかし、それは誤解を恐れずにいうと、めんどくさい(煩雑)ということで、議事録上に、「定款の規定により、取締役の任期が満了した」と記載してあれば、定款添付と同様の効果が発生するとされていました。

(ここで、定款の規定によりと記載すればなんでもよいのかという疑問、この記載が有効である射程は役員変更以外でいかほどかという問題点はありますが、今回は検討外。)

では、翻って会社法の昨今ではどうか。この流れを踏襲してか、議事録には「定款の規定により、取締役の任期が満了した」旨の記載が引き続いて記載されていることが多いのではないかと思います。

確かに今までどおり定款にその旨が記載してあるので間違いではないでしょう。しかし、いまや会社法の規定によっても当然満了する取扱いになります。会社法では、例外規定を定款におくことができる旨を定めていますので、その例外規定にあてはまらなければ、会社法どおりである旨を記載するのが本筋ではないかとふと思ったのです。

今回でいうならば、「会社法の規定により、取締役の任期が満了した」旨の記載になるのではないでしょうか。

この疑問点は、議事録に「定款の規定による」旨や「会社法の規定による」旨の任期満了の記載がないときの扱いにも波及します。

旧商法時代であれば、上記の記載がなければ、怖い登記官からすぐさま補正の電話でしょう。でもいまや、総会終結方が原則ですので、何の記載がなくてもむしろオッケーの扱いになると思われます。

日常の会社法のこごとでした。

では、また。

2009年7月 2日 (木)

監査法人の業務停止と会計監査人の変更登記の関係(3)

業務停止処分を受けた以前の会計監査人は、業務停止期間が経過することをもってただちに、従前の会計監査人の地位に復活することはありません。ですので、従前の会計監査人を再び会計監査人とする場合には、再度の選任行為が必要となります。(なじみのある監査法人さんを登用したほうが都合がよい会社は多いはず)

そもそも、業務停止を契機として、会計監査人を変更する場合には、340条1項2項で定める監査役全員の同意で業務停止を受ける会計監査人を解任し、定時株主総会で別の会計監査人を選任すればよいように思われます。また、業務停止を受けたことが大きな理由となった解任ですので、通常は、正当な理由に基づく解任に当たるでしょうから、会社としては解任によって生じた損害賠償責任を負うことはないと考えます。

では、定時株主総会で別の会計監査人が選任されている上で、再び従前の会計監査人を業務停止期間経過後に選任するとした場合、どういった手続が考えられるでしょうか。その方法論としては、2パターンあります。

まずは、一時会計監査人として選任するパターン。この場合には、株主総会を開催せずに選任できるメリットがあるように思われます。しかい、定款に会計監査人を2名以上置く旨の規定がない限り、従前の会計監査人を「一時会計監査人」として選任することはできません。なぜなら、346条の要件は、会計監査人が欠けた場合を想定しており、1名でも会計監査人が存在している場合は、会計監査人が欠けたには、該当しないためです。

次に、二つ目。臨時株主総会で会計監査人を選任しなおすパターン。しかし、定時株主総会で選任された会計監査人を数ヶ月のみ選任する行為は、監査の仕方としては問題があるかもしれません。

では。

参考

太田洋「監査法人への業務停止命令に伴う実務上の諸問題」商事法務1768号(2006.6.5)35頁

弥永真生「監査法人の業務停止と会計監査人としての欠格事由」商事法務1773号(2006.7.25)4頁

会計監査人の名称変更

昨年のこの時期に大手監査法人さんが有限責任化されたことで、名称変更されたことを昨日のことのように思い出しました。

そして、今年も7月1日に大手監査法人さんのTが有限責任化されました。

(ちなみに監査法人自体の登記実務は、平成20年3月21日付法務省民商第1008号民事局商事課長通知が参考になる登記研究732号43頁)

登記実務の観点からは、会計監査人の名称変更の登記が必要となります。先週に株主総会が終了した会計監査人設置会社の場合には、会計監査人の重任登記と名称変更の一括申請することになります。

新しい名称での重任登記申請も可能かと思いますが、時系列に沿って記載するのが原則かと思いますので、それに倣います。

今日ぐらいにはTの履歴事項証明書はとれるのかな?

では、また。

2009年6月26日 (金)

委員会設置会社と委員会等設置会社

本日、2009年6月26日の日本経済新聞第4面では、新生銀行とあおぞら銀行の合併の件が記載されておりました。

合併後には、「委員会等設置会社」になるみたいですね。

??

会社法施行後は、委員会設置会社であり、等はつかなくなりましたねぇ。明日の新聞には訂正が入ると思いますが。

ところで、委員会設置会社なると本当に企業統治の強化につながるのですか?具体的な部分では常々疑問をもっている次第です。

では、また。

2009年6月22日 (月)

監査法人の業務停止と会計監査人の変更登記の関係(2)

会計監査人の公認会計士法上により、業務停止の効力が発生した場合に、会計監査人設置会社の取りえる手段は、

① 他の公認会計士または監査法人を定時株主総会において従前の会計監査人の業務停止の効力が発生する日をもって選任する(従前の会計監査人の業務停止期間を始期とする始期付就任承諾)(329条)

② 業務停止の効力発生後、臨時株主総会で会計監査人を選任(329条)

③ 業務停止の効力発生後、監査役、監査役会が他の公認会計士または監査法人を一時会計監査人として選任(346条4項)

346条4項:「会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役は、一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない」

が考えられます。

①~③のすべての場合に、会計監査人の登記又は「仮」会計監査人の登記「申請」が必要となります(③の場合も嘱託ではなく、申請です)

また、③の場合は、「一時」会計監査人が登記事項になりそうですが(参考911条2項20号)、「仮」会計監査人が登記の事由です(一時は、言語的には、副詞であり、名詞ではないという説によります。しかし、条文上、仮会計監査人の文言がないので、この取扱いについてどういった経緯で仮会計監査人が登記事由なのか詳しく調べてみる必要があろうかと思います、それか誰か教えてください)

続く

2009年6月20日 (土)

2009年6月17日 企業統治研究会

最近紙面をにぎわしておりました、経済産業省企業統治研究会の報告書ですが、かなり詳細な内容となってオープンされました。

http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g90617b01j.pdf

取り急ぎ、備忘録として(最近備忘録が多くなってなかなか自分の見解または感想が述べれてませんわ…)

では、また。

2009年6月10日 (水)

我が国金融・資本市場の国際化に関するSG報告(案)

本日のブログ検索キーワードで引っかかるのが多かったのが上記の件の検索ですかね。

http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/s_group/siryou/20090610/01.pdf

今朝の日経にもでておりました。金商法の内閣府令の改正とソフトローたる証券取引所の自主規制の内容案です。

発行済株式総数に匹敵する増資を計画するような新興企業が目立つことが背景にありますが、資金を同様な手段であっても集められるならば、どのような事業活動であっても上場できる(又は上場を維持できる)ような環境は不適切だと思います。

新聞の記事ではある会社についていってるのでしょうが、社名は出さないんですね…

まだ、きちんと読んでいないので備忘録として。

では、また。

2009年6月 7日 (日)

シャルレ機関設計の変更~委員会設置会社から監査役会設置会社へ

MBOでもめにもめたシャルレの機関設計の変更のアナウンスがありました。

https://www.charle.co.jp/company/group/rel_pdf/20090313-1.pdf

中でも、シャルレガバナンス監視委員会の答申書は、参考になります。稲葉威雄先生が委員長を務めておられますし。

委員会設置会社の制度設計をとる会社は日本でもかなり限られており、その背景を読み解くにも参考になります。

2009年6月 3日 (水)

会計監査人の就任承諾と監査契約書

最近毎日のアルコールの取りすぎでおっさん化現象が急激に進行しております。おっさん化現象とはいかなるものなのかは想像にお任せします(報告)。

さて、会計監査人については、再選の場合が実務上よく目にするところであります。役員と異なり、会計監査人は、定時株主総会において別段の決議がなされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなされます(338条2項)。

この場合にも当然、登記が必要な局面であり、再任を明らかにするために株主総会議事録の添付が必要となります(退任していないことの消極的な証明のためというのが大きな理由ですが、重任年月日を明らかにするためにも必要となります)

その他、会計監査人が法人であれば、当該法人の登記事項証明書やまた、個人であれば、公認会計士(又は外国公認会計士)であることの証明書が必要です(商業登記法第54条)。

このあたりについては条文を読めばわかります。

一方で、会計監査人が再任ではなく、新たに就任の場合にいかなる添付書類が必要となるのかは、頻繁に検討することはありません。会計監査人を選任する必要がある会社の株主総会が6月下旬に集中して開催されることもありますので、少々検討しときたいと思います。

まず、選任の事実を証明するために、定時株主総会議事録が必要となります(商業登記法46条2項)。また、就任承諾書が必要となります(54条2項)。

このあたりも条文どおりですが、会計監査人の選任手続を証明するために実体法との関係でよく聞かれることがあります。

というのは、会社法第344条では、会計監査人の選任に関する議案を株主総会に提出するためには、監査役会の同意が必要となります(344条1項3項)。この同意がなく株主総会に会計監査人の選任議案が上程された場合は、選任決議の取消事由になるものと思われるので、重要な過程となります。ですので、監査役会の同意書を添付書類として提出することも考えられるのではないかと思います。

しかし、登記上は不要となっております。条文上添付根拠がないというのが大きな理由かと思います。(次回、当該書類不要な点を商業登記法の性善説の観点から検討します)

では、会社と会計監査人が通常取り交わす監査契約書が添付書類として必要となるのでしょうか。

答えは、原則不要といったところです。しかし、監査契約書は通常就任承諾書としての性質がありますので、監査契約書は、登記申請上の就任承諾書としての適格性に耐えうるものになります(実例でもあり)。

最近の会計監査人の意見不表明や、ゴーイングコンサーンの注記等の問題で、会計監査人が代わる会社も多くでてきそうですので念のため、簡単なおさらいでした。

では、また。

2009年6月 2日 (火)

西友が合同会社へ

昨日、初めて裁判員招集通知を受けた人と出会いました(報告)。

6月1日のプレス発表で西友が株式会社から合同会社への移行を発表しております。

http://www.seiyu.co.jp/contents/506.pdf

合同会社は、株式会社に比べて、株主総会を置かないことから機動的な運営ができる点がメリットです。

また、出資比率に応じずに、損益や権限の分配ができる点や、取締役等の機関設置が義務化されておらず、組織構成が柔軟にできる点がメリットとして挙げられています。

ただい、資本金を見ても300億円以上の大会社が合同会社になるのはめずらしいですね。

僕の中では、合同会社は投資のビークルとして用いられるか、小さな事業の場合に用いられるイメージがありました。ですので、今後、規模の大きな株式会社が合同会社に移行する流れが出来るほどのものではないでしょう。

では、また。

2009年5月27日 (水)

社外取締役の設置義務化見送りへ(経済産業省)2009.5.26

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/soumu/index.cfm?i=2009052604275b3

うがった見方をすれば、経団連のほうがやはり強かった、というのが正直な感想ですね。

日本に社外役員の制度がなつくとは思えません(委員会設置会社の制度も踏まえて)。

参考 上場会社の社外取締役の義務化への方針2008.12.1

では、また。

2009年5月22日 (金)

監査法人の業務停止と会計監査人の変更登記の関係(1)

司法書士に登録すると、毎月「月報司法書士」という雑誌が送付されてきます。この雑誌の末には、懲戒事例が載ることになっている模様です。登記関係では主に、司法書士法が定める本人確認義務や当事者の意思確認義務に違反する事例が目立つ印象です。この懲戒処分は、もっとも厳しいもととして業務禁止があり、その他一定期間の業務の停止、戒告が予定されています。

懲戒が多発しており、私も他人ごとではないので、10年後にきちんと司法書士であり続けれるようまずはがんばろうと思ってる次第です。あんまり自信はないかも。

ところで、士業の中でも、会計監査人である公認会計士が懲戒処分を受けた場合には、公認会計士法第29条に、戒告、2年以内の業務の停止、登録の抹消がそれぞれ定められています。

このうち、業務の停止、登録の抹消の懲戒処分を内閣総理大臣から委任を受けた金融庁が下した場合に、監査を受けている被監査会社が対応すべき処理が問題となります。

まず、会社法第337条第3項1号には、

「公認会計士法の規定により、第435条第2項に規定する計算書類について監査することができない者」は、会計監査人となることができないと定められています。

したがって、業務停止を受けた場合(厳密には業務停止の効力発生日)には、会計監査人の退任登記が必要となります。

なお、業務停止前に、定時株主総会が開催され、会計監査人の不再任、解任が議決されない場合は、重任となることに留意する必要があります(338条2項)。

業務停止の効力発生した場合に、会社法328条の会計監査人設置が義務付けられている会社としては、このまま退任してもらって、はい、おしまいというわけにはいきません。

続く

参考

太田洋「監査法人への業務停止命令に伴う実務上の諸問題」商事法務1768号(2006.6.5)35頁

弥永真生「監査法人の業務停止と会計監査人としての欠格事由」商事法務1773号(2006.7.25)4頁

2009年5月 3日 (日)

不動産登記の添付書類として 取締役の利益相反行為について(2)

(報告)眠いです。

不動産登記の局面で、取締役の利益相反がらみで取締役会議事録を添付することがあります。

これは、取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするときには、会社は、株主総会の承認(取締役会設置会社では、取締役会の承認。「以下、取締役会設置会社を念頭におく」)を受けなけばいけません(356条、365条)

当該条文の、「第三者のため」とは、取締役が他社の代理人・代表者として、会社と取引をしようとする場合が該当します。取締役が多くの会社の役員を兼用している場合に問題となってきます。親子会社の場合もよくあるような気がします。

上記の取締役会の承認をする前提として、まずは、取締役会を招集しなければなりません。その招集決定のプロセスとしては、当該取引が356条の各号に該当するのかどうか判断することになります。

各号に該当することがわかったとしても、会社に不利益を及ぼすおそれがある場合には、取締役会の招集をする必要はありません(不利益を及ぼすおそれがあれば、積極的に承認することはありえないからです)

そして、会社にとって適当であることがわかった際に初めて取締役会を招集することになります。

続く

2009年4月28日 (火)

取締役の辞任と定款の添付(1)

では、代表権剥奪消滅説とはなにか?

まず、旧有限会社(以下、「有限会社」と称する)において代表取締役が定められると、他の取締役は会社を代表することがなくなります。この代表権の消滅を理屈付けるには、2つの方法があります。

まず、①他の取締役の代表権は排除ないし制限されるが、当該代表取締役が死亡その他の事由により退任した場合には、他の取締役は、当然に代表権を有することとなるというもの(代表権回復説)

また、②代表取締役を定めることにより他の取締役の代表権は剥奪され、当該代表取締役が死亡等により退任した場合にも、他の取締役が当然に会社を代表することとはならないというもの(代表権剥奪消滅説)

とがあります(登記実務は②の代表権剥奪消滅説と思われます 昭和37年6月28日民事甲第1650号法務省民事局一部変更指示)。

②を前提とする限り、理論的には、(序)で想定した事例においては、Bの代表権は復活せず、新たに会社を代表する者を選任して、この者からの申請をしなければならないことになります。ですので、Bを新しく代表取締役に選任した根拠に基づいた添付書類が必要になってきます。

しかし、定款において「取締役が2名以内を置き、取締役の互選により代表取締役1名を置く。」と定められている場合は、取締役2名の場合に限って代表取締役を互選により定めることとし、取締役が1名のときには、その者が当然に会社を代表するとの理解が成り立ちます。

続く

参考:『株式会社法』(江頭憲治郎、369頁) 登記研究646号119頁(平成13年)

登記情報549号

2009年4月27日 (月)

取締役の辞任と定款の添付(序)

想定事例:非取締役会設置会社であり、代表取締役たるAと取締役Bの2名の株式会社。

ここで、代表取締役たる取締役Aが辞任した場合に、Bの代表取締役の登記申請の際に定款の添付をする必要があるのか?

まず、考えるべきは、Aが辞任することによって、Bは当然に代表取締役になる、言い換えれば、代表権が回復(付与)されるのかどうかです。

登記実務は、「代表権剥奪消滅説」が採用されているため、当然にBの代表権は、回復しないことになります。

まず、上記の「代表権剥奪消滅説」とはなにかについてです。

この議論の前提として、非取締役会設置会社と旧有限会社の代表取締役の選任規定が類似しているので、旧有限会社の代表取締役の選任について検討します。そして、その射程か非取締役会設置会社にも及ぶのか否かについてもふれようと思います。

2009年2月 2日 (月)

第2回企業統治研究会の資料

経済産業省の第2回企業統治研究会の資料が公表されています。企業年金連合会という機関投資家の視点からみた企業価値の向上の点を述べておられます。

取締役は、代表取締役社長の業務執行に服することが多くなっており、代表取締役に対してなかなか意見がいえない状況にあるのは事実だと思います。そして、この状態によって、ときに経営判断がおかししいときにその修正がなかなか効かない場面がでてくるのも確かです。経営判断がくるってくると、最終的には株主価値を毀損する事態に陥ってしまします。

一方で、社外取締役は、株主価値の向上という点についてについては、代表取締役と共通していますが、代表取締役と直接の利害関係にはないという点は理論的にはありそうです。

しかし、この解決策として、社外(独立)取締役を設置することをもって、ただちに経営判断の適法性を無条件に推認できるようなガバナンスが構築できるといった論調にならないか危惧するところです。

社外取締役の導入をもってガバナンスの正当性が確保される免罪符を手にしたというような形式論では終わってほしくないですね。

http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g90127a03j.pdf

では、また。

2009年1月21日 (水)

監査役会設置会社への移行

会社規模の拡大による機関設計の変更の一場面として、監査役会設置会社に意向するケースがあります。上場準備のために設置することもあります。

今回は、監査役の権限を「会計に限定」している株式会社が、監査役会設置会社に移行する場合の注意点についてです。会社法第389条により、公開会社でない株式会社(監査役会設置会社を除く)は、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定することができます。

その会社が、監査役会設置会社への移行をするには株主総会で機関設計に関する決議をする必要があります。その決議が可決された場合に、監査役会設置会社の監査役は3名以上必要となりますので、監査役の選任決議をする必要があります。

ここで気をつけなければならないのが、従前の監査役の権限が変わることによる退任が生じてしまうことです。

389条における会計限定の監査役の設置をすることができる規定は、監査役会設置会社には適用されません。そして、監査役会設置の旨の決議が可決されたことをもって自動的に監査役の権限が業務監査権限を含んだものまで拡大します。

この業務権限の拡大によって、336条第4項3号が定める監査役の退任事由である、「監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更」に該当するため、監査役の退任が必要となります。

小さな権限から大きな権限にかわるため、再度監査役の信任を問う必要がでてきるのです。

では、また。

2009年1月18日 (日)

上場企業の取締役会に社外役員を議長に(案)

金融審議会の作業部会の案として、上記の論点を提示するみたいです。

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/top/index.cfm?i=2009011708677b1

社外役員の導入という点から、社外取締役の設置の有益性は、講学上次の点にあるといわれています。

まず株主が抱える問題として、今でこそ株主代表訴訟や、株主総会における議案提案権の行使といった株主の権利行使が増えだしてきていますが、以前として、経営者に対する監視が低い現状です。経営者支配が生まれる恐れがあります。

また、役員サイドの問題点として、て日本の取締役は従業員から役員になるような者が多く、社長と対等に物を言えるものが少ない現状にあります。本来経営者を監督する取締役が社長のいいなりの組織として形骸化してしまうので、取締役の意味が薄いものになります(362条)。

株主のチェックと取締役のチェックの両方がうまく機能しなくては、業務執行が適切に行われているのかそうでないのかの判断ができなくなります。ひいては、株主の利益に反することになるおそれが生じることになります。

この問題意識を受けて、役員サイドの問題点の解決策として、外部人材を登用し、社長と対等に議論討論できるシステム構築する必要があるという論理展開をすることになります。その論理展開の具体策として、社外取締役の設置が俎上に挙がることになります。

この方針は、経済産業省の企業統治研究会でも取り上げられています。

http://sihousyositalaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-ca55.html

この点については、新米のわたくしは、下記のようにエントリーしています。http://sihousyositalaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-ace7.html

社外役員の人材不足であることや、従業員から役員になる慣習が非常に高い日本型のシステムに社外取締役が根付くのかもう少し検討してみる必要があります。株の持ち合いのように役員の持ち合いのように制度の趣旨を骨抜きにさすような事態にはならないようにしなければと思った次第です。

では、また。

2009年1月14日 (水)

取締役の報酬

取締役の報酬は、他の会社の経費と同様に取締役会の業務執行の一環として決定するのが理屈から導くことができます。しかし、お手盛りの防止のため、定款の記載又は株主総会の決議によって取締役の報酬を定めることとなっています(361条1項)。

中小企業の場合、このお手盛り防止というのはあまり趣旨として射程はは及ばないかもしれません。なぜなら、代表取締役たる社長がオーナー株主であることが多く、株主総会において自由に議案の提案ができ、可決することが可能だからです。

それはさておき、取締役の報酬を減額できる場合については解釈がわかれます。

肯定説(大阪地判昭和47.12.21)報酬の決定手続があるように、減額も再度の決定手続として位置づけるとするならば、可能であるとする見解です。当該取締役の同意は不要です。

否定説(最判平成4.12.18)報酬が会社と取締役の報酬支払契約の変更の問題であるから、特約がない以上、会社が一方的に変更することはできないとする見解です。(取締役の承諾があれば可能)

ここで、同僚と議論をしていたのですが、とある会社の取締役が交通事故で意識不明のため、業務執行ができないような特段の事情があった際にその者の報酬額の減額ができるかどうかが明らかではありません。減額ができないと不都合ではないかと直感的には思いましたがなかなか論拠がはっきりしません。

減額できるなにかいい論理がありましたら教えてください。

では、また。

2008年12月 1日 (月)

上場会社の社外取締役の義務化への方針

上場会社の社外取締役の義務化の方針(朝日新聞2008.11.28)

独立性の高い社外の者に経営監督の強化を要請するものです。日本の会社は、終身雇用、年功序列のシステムがいまだに機能しているせいか、取締役になるのは会社内部の従業員からの登用がほとんどです。そのため、社長に対して意見を言いづらい風潮があるのは確かです。

そこで会社と直接に利害関係のない外部の者を登用することで、意見を言いやすいようにし、もって会社の経営の監督の強化にあたらせることを諮ることになります(社外取締役の定義は下記参照)。

確かに形式的には意見を言いやすい外部のものを登用することで活発な意見の言い合い、経営監督が働くようにみえます。

しかし、私が思うに、その外部の者の選任議案を株主総会に提出するのは従前の取締役のかたです。何十年も会社に滅私奉公してきた取締役のかたが、新参者の、また、自分たちに意見をいうものを、積極的にいれるのはなかなか考えがたいところです。ですので、日和見の意見を述べてくれる、形式的には「社外」取締役に該当する者を登用することで終わり、絵にかいた餅になるのではないかと危惧しております。

会社法第2条第15号 社外取締役 株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第363条第1項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。

では、また。

2008年11月27日 (木)

一時会計監査人の選任について

下記の会社について、一時会計監査人の選任が行われた模様です。

サハダイヤモンド一時会計監査人の選任について

会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合においては、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役(又は監査役会)は、一時会計監査人の選任をしなければなりません(会社法第346条第4項及び第6項)。

遅滞なく選任させないときとは、臨時株主総会を招集することが困難な場合等があげられます。

会社法上、役員は、取締役、会計参与及び監査役をいうのであって(329条1項参照)、会計監査人は役員には該当しません。そして、346条1項の権利義務規定があるのはその役員だけであって、会計監査人については権利義務を負うという規定はありません。この特殊性から、会計監査人については独立して346条第4項及び第6項が設けられています。もっとも、取締役等についても一時取締役というものが認められていますが、取締役については員数が欠けた場合には、一時取締役を選任するよりも数ヵ月後の総会において取締役を選任することが多いみたいです。また、一時会計監査人の場合には、監査役等の直接選任ですが、一時取締役の場合には裁判所の関与が必要ということがありますので、一時会計監査人の場合のほうが、緊急性が高いといえます。

なぜ会計監査人の変更があったかどうかについてはここでは詳しく触れませんが、通常は会社がごたごたしてあって、会計監査人が監査に責任をもてないことが挙げられます。昨今、不正を看過した責任については、厳しく追及される会計監査人でありますので、そのようなリスクを避けるのは必然です。

(参考)株式会社アライヴコミュニティの一時会計監査人の選任の場合(2008.6.2)

では、また。

2008年11月25日 (火)

総会終結後の決議通知の送付

会社法では、総会招集通知や総会議事録についての記載について詳細に規定されています。しかし、総会終結後に上場会社が行っているような総会の決議事項の通知についての規定はおかれていません。中小企業の場合では、決議通知を行う会社のほうが少ないかもしれません。

ここでいう決議通知とは、総会に付議された議案について決議結果を通知するものをいいます(もちろん、条文上に具体的な定義規定はありません)。

思うに、今後種類株式の一内容である議決権制限株式が頻繁に活用された場合には、議決権を行使することができない株主が出現します。そして、総会に出席しない株主のためにも、総会決議内容の周知徹底のために決議通知書の送付を考慮するべき必要もでてくるのではないでしょうか。

では、また。

2008年11月 6日 (木)

会計監査権限のみにするか否か

 全株式について譲渡制限がついている会社にあっては、監査役の権限を業務監査権限ではなく、会計に関するものに限定することができます(389条)。ちなみに監査の範囲を会計に関するものに限定した場合には、監査役がおかれていても会社法上の監査役設置会社ではありません(2条9号)。しかも、その場合であっても全部事項証明書には、監査役設置会社である旨が登記事項になっております。

 中小企業の監査役にあっては、それ相当の専門的な会計知識を有している人材の確保が困難かと思われますが、なぜか非公開会社の監査役については、権限を会計に限定することができる旨の規定があります。

 とはいうものの、中小企業の選択肢として、監査役の権限を会計に限定する際には、下記の点について検討する必要があろうかと思います。

監査役の権限を会計に限定した会社にあっては、

(1)株主の取締役会議事録閲覧権については、 裁判所の許可が不要になります(371条3項、4項)。

(2)会社に著しい損害を及ぼす恐れおそれのある場合の取締役の報告先が株主になります(357条)。

(3)株主による取締役の違法行為差止請求権の行使要件が、「著しい損害が生ずるおそれ」になります(360条)。

(4)株主による取締役会招集請求権を認めることになります(367条1項4項)。

(5)定款授権による責任免除を認めることができなくなります(426条1項)。

 個人的には、会計に疎い方が、会計限定権限の監査役に就任するのは名目的なものであり、問題があるのではないかと思います。理想としては、取締役の職務執行を監査する業務監査権限について今よりさらに注目し、その権限の充実を諮るできではないでしょうか。

では、また。

2008年11月 3日 (月)

取締役会設置会社か否かのメリットデメリット

ご存じのとおり、新会社法の施行により、すべての株式に譲渡制限を設定している株式会社(非公開会社)は、取締役会を設置しないことを選択することができるようになりました。取締役会を設置しない会社は、取締役を1名置くことで足ります。一方で、取締役会設置会社では従前どおり、取締役を3名以上置くことが必要です(331条4項)。

基本的に、取締役非設置会社になると株主総会の権限が強くなるので、取締役と株主の構成が異なる会社では採用しずらいと考えられます。すなわち、利用上のポイントとしては、株主兼オーナー社長のようなワンマン会社や、資本金が大きくても完全子会社等、業務権限が完全親会社に事実上委譲されているような会社であっても採用するメリットがありそうです。

では、取締役を非設置にする場合に具体的に株主総会の権限が強くなる内容は、

①株主総会の決議事項の範囲が広くなります(295条2項)。
特に、株式の譲渡承認(139条1項)の承認機関、株式の分割(183条2項)、取締役の競業・利益相反取引の承認(365条1項)について取締役ではなく、株主総会の決議事項に変更となるのが特徴です。

②株主総会の招集通知を会日の1週間前より短縮して(例えば3日前)発することが可能となります(299条)。取締役会設置会社では、招集通知は原則として、1週間前になります。

③株主総会に招集議題として通知した事項以外にも決議できます(309条5項)。招集通知に議題を記載せずとも、自由に議題を当日上程することができます。

④株主総会招集通知を書面でしなくてもよいことになるます(口頭でもよい)(299条2項)。

⑤取締役会非設置会社の機関設計を採用した場合には、監査役を置く必要もなくなり、任意機関となります。名目的な監査役を置いていた場合は、廃止して機関設計をスリム化することが可能です。

⑥会社法施行後は、有限会社を設立することができなくなりましたので、10年後、50年後に有限会社として取引をしていれば、長い歴史を取引先が持つことになること。

⑦決算公告が不要なこと(ただ、株式会社であっても決算公告をしていない会社が多く、していなくても過料の制裁が現実的にないので、このメリットは理想論的かもしれませんが)。

以上のような違いにメリットを感じる場合には、取締役会設置会社を廃止することが考えられます。また、一般的に今まで員数合わせのための名目的取締役として名を連ねるだけであった会社も取締役会設置会社である旨を廃止しているのが現状です。

但し、取締役会設置会社である旨は、登記事項ですので、当該規定が登記簿に記載され、第三者の閲覧に供されることから受ける影響も大切ではなかろうかと考えます。取締役会を設置しない場合には、簡易な機関設計を採用していると思われますので、その影響を諮る必要があるのではないでしょうか。

では、また。

2008年10月26日 (日)

取締役の責任追及の訴え

株式会社ゼネラルが、株主からの責任追及の訴えを受けましたが、不提訴を表明しています。
(司法書士としては決してメジャーな点ではないかと思いますが、企業法務関連として、整理しておかなければと思いまして)
847条4項によると、会社が請求を受けたときから、60日以内に訴えを提起するか、提起しない場合でも、その理由を記載した書面を当該請求者に通知しなければならないことになっております。
上記会社は、8月25日に請求にかかる書面を受領して遅くとも10月23日に提訴しない理由を書面をもって通知しています。けっこうぎりぎりに通知するもんなんですね。
経営判断の原則とのかかわりで、どの程度から役員に責任追及の範囲が及ぶのかは難しい問題。
(責任追及等の訴え)
第八百四十七条  六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(第百八十九条第二項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(第四百二十三条第一項に規定する役員等をいう。以下この条において同じ。)若しくは清算人の責任を追及する訴え、第百二十条第三項の利益の返還を求める訴え又は第二百十二条第一項若しくは第二百八十五条第一項の規定による支払を求める訴え(以下この節において「責任追及等の訴え」という。)の提起を請求することができる。ただし、責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。
 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。
 株式会社が第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。
 株式会社は、第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合において、当該請求をした株主又は同項の発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等若しくは清算人から請求を受けたときは、当該請求をした者に対し、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。
 第一項及び第三項の規定にかかわらず、同項の期間の経過により株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、第一項の株主は、株式会社のために、直ちに責任追及等の訴えを提起することができる。ただし、同項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
 第三項又は前項の責任追及等の訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。
 株主が責任追及等の訴えを提起したときは、裁判所は、被告の申立てにより、当該株主に対し、相当の担保を立てるべきことを命ずることができる。
 被告が前項の申立てをするには、責任追及等の訴えの提起が悪意によるものであることを疎明しなければならない。
では、また。