監査法人の業務停止と会計監査人の変更登記の関係(3)
業務停止処分を受けた以前の会計監査人は、業務停止期間が経過することをもってただちに、従前の会計監査人の地位に復活することはありません。ですので、従前の会計監査人を再び会計監査人とする場合には、再度の選任行為が必要となります。(なじみのある監査法人さんを登用したほうが都合がよい会社は多いはず)
そもそも、業務停止を契機として、会計監査人を変更する場合には、340条1項2項で定める監査役全員の同意で業務停止を受ける会計監査人を解任し、定時株主総会で別の会計監査人を選任すればよいように思われます。また、業務停止を受けたことが大きな理由となった解任ですので、通常は、正当な理由に基づく解任に当たるでしょうから、会社としては解任によって生じた損害賠償責任を負うことはないと考えます。
では、定時株主総会で別の会計監査人が選任されている上で、再び従前の会計監査人を業務停止期間経過後に選任するとした場合、どういった手続が考えられるでしょうか。その方法論としては、2パターンあります。
まずは、一時会計監査人として選任するパターン。この場合には、株主総会を開催せずに選任できるメリットがあるように思われます。しかい、定款に会計監査人を2名以上置く旨の規定がない限り、従前の会計監査人を「一時会計監査人」として選任することはできません。なぜなら、346条の要件は、会計監査人が欠けた場合を想定しており、1名でも会計監査人が存在している場合は、会計監査人が欠けたには、該当しないためです。
次に、二つ目。臨時株主総会で会計監査人を選任しなおすパターン。しかし、定時株主総会で選任された会計監査人を数ヶ月のみ選任する行為は、監査の仕方としては問題があるかもしれません。
では。
参考
太田洋「監査法人への業務停止命令に伴う実務上の諸問題」商事法務1768号(2006.6.5)35頁
弥永真生「監査法人の業務停止と会計監査人としての欠格事由」商事法務1773号(2006.7.25)4頁




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